研究課題/領域番号 |
15330073
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
経営学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
服部 民夫 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (10238032)
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研究分担者 |
由井 常彦 文京学院大学, 経営学部, 教授 (10061847)
高 龍秀 甲南大学, 経済学部, 教授 (40234687)
吉川 容 (財)三井文庫, 研究員 (20201460)
安倍 誠 独立行政法人日本貿易振興機構, アジア経済研究所, 研究員
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
14,900千円 (直接経費: 14,900千円)
2005年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
2004年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
2003年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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キーワード | 韓国財閥(チェボル) / 日本財閥 / 家族企業 / ガバナンス / 所有と経営 / 専門経営者 / 韓国財閥 / 企業のサステイナビリティー / コーポレート・ガバナンス / 財閥解体 |
研究概要 |
財閥という経営システムは果たしてサステイナブルなのか、という研究関心から始まったこの研究は韓国と日本の財閥(戦前期)/チェボル(現在)の所有や支配の構造、ガバナンスのあり方、外部環境への適応などの面について研究を行った。まず、財閥を家族企業という面から捉えると、それは一般的な企業形態だが、それが多角化と結びついたことが欧米には見られない特徴である。しかし、外部環境から考えると、それらはいずれも後発国の急速な開発過程に登場したものであり、アジアのみならず、ラ米などでも形成されている。少なくとも開発過程における経営諸資源の不足がそれをもたらしたもの、といえる。とすれば、経済開発過程が終了し、一定の成熟段階に到達すればその存在の妥当性は大きく制約されるはずである。市場の自由化、外国資本の自由な参入が可能になると、あるいは市場経済の下で企業の透明性に対する要求が高まると、家族による所有支配や経営支配は弱化せざるを得ない。韓国のチェボルが現在たどっている道はその方向を示している。しかし、まだ形成過程であっても、環境変化に必ずしも柔軟に適応できるものとも言えない。三井が戦時経済下で大膨張した時期にその財務状況が急速に悪化したこと、あるいは韓国においても1997年の経済危機の際に経営危機に陥ったチェボルは大拡張した中小チェボルであったことがそのことを示している。しかし、韓国において経済危機以降議論されてきたチェボルは非効率であるという主張は、今回の研究では退けられた。従って、財閥/チェボルという経営システムはそれ自体として非効率なのではない。先に見たような外部環境の変化によって(非関連)多角化は徐々に整理され、その外部環境変化に適応できたものだけが巨大な家族企業としてサステイナブルであるが、多角化した巨大な家族企業としては持続的ではない、ということが暫定的な結論である。
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