研究課題/領域番号 |
15330136
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
社会心理学
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
久保 ゆかり 東洋大学, 社会学部, 教授 (10195498)
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研究分担者 |
船津 衛 放送大学, 教養学部, 教授 (90047184)
安藤 清志 東洋大学, 社会学部, 教授 (50125978)
北村 英哉 東洋大学, 社会学部, 教授 (70234284)
清水 直治 東洋大学, 文学部, 教授 (80134774)
片山 美由紀 東洋大学, 社会学部, 助教授 (50265229)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
8,800千円 (直接経費: 8,800千円)
2005年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2004年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2003年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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キーワード | 感情 / 感情の社会的機能 / 感情の理解の発達 / 心拍 / 決断 / 罪悪感 / 覚醒経験 / 自閉症 / 感情の社会性 / 広告 / ポジティブな感情 / ネガティブな感情 / 感情の社会的表現 / 表情 / 感情的な志向性 / ライフデザイン |
研究概要 |
本研究では、感情は自他および自他の関係調整にとって有用なシグナルを発するという社会的な機能を有すると捉え、そのような感情の機能にっいて検討し(研究1)、感情の機能を人はどのように理解するようになっていくのかを捉え(研究2)、実際に人は社会生活において感情経験をどのように表現しているのかについて(研究3)検討してきた。また、理論的検討を行い(研究4)、次のような成果を得た。 研究1-1では、国内外の研究を概観し、ネガティブな感情にも適応的な機能があり、特に自他間のコミュニケーションにおいて果たす役割の重要性を明らかにした。次に、決断という感情を取り上げ、誤再認課題と心拍数測定を通して実証的に検討し、決断という感情には、怒りなどのネガティブな感情との間に類同性があることを見出した。研究1-2では、罪悪感を取り上げ、その誘導方略を分類し、さらに道徳離脱や道徳的偽善など、罪悪感の発生を抑制する過程の重要性について指摘した。次に日本の雑誌に掲載された広告を収集し分析した結果、予期罪悪感が多数を占めることを見出した。 研究2-1では、喜び、悲しみ、怒りの感情表出が自他へどのような影響を与えるのかを5歳〜6歳の子ども達に尋ねた結果、ポジティブな感情表出の機能については5歳時点においても語れるが、ネガティブなものについては1年後の6歳時点であっても語りにくいことが見出された。ネガティブな感情の機能は、理解され難いことが示唆される。研究2-2では、自閉症児(者)と幼児を対象にして、「心の理論」と他者の感情理解の関係について検討した結果、幼児では加齢によって理解が適切になるが、自閉症児(者)では、感情理解および誤信念の理解が困難であることが明らかになった。 研究3では、社会生活における感情状態を表現する語として、覚醒を示す「昂」の感情表現語(『感情表現辞典』)を対象として評定した結果、「昂」(「苛」「昂」「感動」の内容を含む)はポジティブに経験される場合と、ネガティブに経験される場合、そして両方向で経験されうることが明らかになった。 研究4では、人間の感情は他者とのかかわりにおいて社会的にコンストラクトされるものであり、したがって、感情を単に生理学的に理解するだけではなく、社会学的・社会心理学的に把握する必要性を明らかにした。
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