配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2005年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2003年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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研究概要 |
本研究は、わが国における問題設定活動の初源的形態とも言える奈良女子高等師範学校附属小学校の実践「作問中心の算術教育」に視座を置き、大正末期から昭和初期にかけて主張された様々な算術教育思潮及び算術教育実践が生活算術として統合されていく過程について考察することである。具体的には、以下の点について研究を行った. ・生活算術が展開されていた時期,「作問中心の算術教育」の中心的実践者である清水甚吾の算術教育の実際について明らかにする. ・大正末期から昭和初期にかけて展開された算術教育実践(生活算術)と「作問中心の算術教育」との間の関連性を明らかにすることにより,「作問中心の算術教育」が生活算術の形成に果たした役割について考察する. ・児童作問を意図したカリキュラムの水準においてはじめて学習材として採用した緑表紙教科書に対する「作問中心の算術教育」の影響を考察する. 本研究を通して,以下のことを明らかにすることができた. 大正期末期に一定の成果をあげた清水甚吾の算術教育実践は,昭和期に入ると当時の国定算術教科書との関連性,実行可能性に関する諸問題を解決する必要性に迫られ,その過程で「作問中心の算術教育」実践の内的変容を余儀なくされたが,清水が提唱する算術教育論は岩下吉衛,藤原安治郎,稲次静一等,当時を代表する生活算術の実践家に影響を与えた.ただし,それは清水の実践そのものではなく各実践家の立場に基づき捉え直されたものであった.様々な算術教育において取り入れられた児童作問は,その後,緑表紙教科において「数理思想の開発」の観点から意図したカリキュラムに位置づけられた.
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