配分額 *注記 |
16,200千円 (直接経費: 16,200千円)
2006年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2005年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2004年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2003年度: 5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
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研究概要 |
ハミルトン系向けの数値積分法として,シンプレクティック数値積分法やエネルギー保存差分法が広く用いられている.しかし,これらの数値積分法はハミルトン系がもつ全ての保存量を保つわけではないので,真の解軌道とは著しく異なる解軌道を与える可能性がある.実際に,これらの手法ではケプラーの2体運動ですら長時間挙動は再現できない.本研究の目的は可積分ハミルトン系の全ての保存量を保つ数値積分法である全保存型差分法(totally conservative integrator, TCI)の開発である.峯崎と中村により,既にこの新数値積分法によって,ケプラー運動の解軌道が完全に再現されることがわかっている. 平成18年度は研究の最終年度として,ケプラー運動の数値積分スキームに基づいて,峯崎を中心に重力場の3体運動の全ての保存量を一定に保つ数値積分スキームの開発を行った.具体的には,ラグランジュの平衡解,すなわち,3個の遊星が正三角形を保ちながら平面上を運動する重力3体問題の特殊解の場合に,すべての保存量を保存する運動方程式の全保存型の離散化を行った.2体問題部分と3体相互作用部分に分割して,それぞれ離散化するのが基本的な構想である.キーとなるアイデアは,2体の場合に生じた時間変数のずれを相対座標の和をゼロに保つのに利用することである.この結果,提案法はラグランジュの平衡解を丸め誤差を除いて厳密に保存することが解析的にも,数値シミュレーションとしても示され,従来のシンプレクティック数値積分法によるStormer-Verletのスキームに対する優位性が確認された.また,同じ数値積分スキームは,別の特殊解である8の字解についても良好に再現することが数値的に示され,エネルギーの長期安定性が確認された.
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