研究分担者 |
杉本 充 大阪大学, 理学研究科, 助教授 (60196756)
今野 一宏 大阪大学, 理学研究科, 教授 (10186869)
鈴木 譲 大阪大学, 理学研究科, 助教授 (50216397)
満渕 俊樹 大阪大学, 理学研究科, 教授 (80116102)
渡部 隆夫 大阪大学, 理学研究科, 教授 (30201198)
山崎 洋平 大阪大学, 理学研究科, 助教授 (00093477)
眞鍋 昭治郎 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20028260)
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配分額 *注記 |
8,700千円 (直接経費: 8,700千円)
2005年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2004年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2003年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
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研究概要 |
本研究の目的は,Hilbert空間H上の状態空間S(H)に作用する量子通信路Γ:S(H)→S(H)が,有限次元パラメタにより滑らかにパラメトライズされているという仮定のもとで,非可換統計学および量子情報幾何学の手法を用い,拡大通信路(id 【cross product】Γ)^(【cross product】n)の量子状態空間S(H^(【cross product】2n))への埋め込み方法の最適化,および対応する量子統計的モデルに対する推定量の最適化理論およびその漸近論を研究することにある.本研究で得られた主な研究成果は以下の通りである. 1.一般化Pauli型通信路,一般化amplitude-damping通信路,およびSU(d)通信路等の推定理論: 標記の通信路の族は,いずれも量子情報理論の諸分野において標準的通信路として確立されたスタンダードな通信路のクラスである.本研究では,非可換統計学,量子情報幾何学,群の表現論等の方法に立脚し,さらにコンピュータを併用した実験数学的手法を駆使して,これら通信路に対する最適推定方法を完全に導出すると共に,その背景には,出力状態族のなす多様体の膨張・崩壊現象があることを明らかにした. 2.局所不偏推定量に基づく適応的推定の漸近論: Holevoにより提唱された局所不偏推定量の概念は,推定すべき真のパラメタ値に依存して定まるため,実用的には意味がないという類いの主張をする研究者もいる.これに対しNagaokaは,最尤推定法と組み合わせた適応的推定の文脈では,十分意味のある推定量となっているであろうという予想を1987年に発表していたが,その証明は未解決であった.本研究では,マーチンゲール理論を用いて,局所不偏推定量に基づく適応的推定が強一致性および漸近有効性を有することを証明した.この結果はNagaokaの予想の肯定的な解決を与えるものである.
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