配分額 *注記 |
13,300千円 (直接経費: 13,300千円)
2005年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2004年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2003年度: 8,900千円 (直接経費: 8,900千円)
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研究概要 |
本研究では,isothermal DLTS法,IR法,ESR法,SR法などの手法を用い,Si中の水素-白金複合欠陥の電子状態と原子配置,Ptまわりでの水素の振動や回転運動,歪みSiGe膜中への水素の侵入と膜の歪み緩和への水素の影響などを主な対象として研究を行い,以下のような知見を得た。 1.Si中の水素-白金複合欠陥の対称性と欠陥構造をisothermal DLTS法,ESR法により決定した。欠陥の電子準位の応力依存性を明らかにし,欠陥の配向が応力により揃うことを見出した。また,応力配向が生じる原因である安定配置と準安定配置のエネルギー差の応力係数を決定した。さらに,白金近傍での水素の局所運動の活性化エネルギーに対する荷電効果を研究し,欠陥の電子準位が電子により占有されないと水素運動が促進されることを明らかにした。 2.赤外吸収(IR)法により,Si中の水素-白金複合欠陥による吸収ピークが一軸性応力によりどのように分裂するかを実験的に明らかにした。波数1880.7cm^<-1>にPtH、1873.1cm^<-1>と1891.9cm^<-1>にPtH_2のピークを観測し,0.16GPaの応力下での分裂したピーク強度比が理論値に近いものとなった。 3.Si基板上およびGe基板上に成長したSiGe膜について,拡がり抵抗法により水素処理前後の抵抗変化を調べた結果,後者の膜についてのみ高抵抗化し水素が膜中に侵入することが分かった。また,後者の膜では,侵入した水素の影響により,その後の熱処理による格子歪緩和が促進されることが分かった。この水素侵入挙動の違いは,前者の膜が圧縮歪を持ち,後者は引張り歪を持つという歪の符号の違いが原因と考えられ,水素のダイナミクスに対する歪みの影響という,研究の計画段階では予想もしなかった成果が得られた。
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