研究課題/領域番号 |
15340104
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物性Ⅱ
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小田 研 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70204211)
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研究分担者 |
桃野 直樹 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00261280)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
14,800千円 (直接経費: 14,800千円)
2005年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2004年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2003年度: 9,500千円 (直接経費: 9,500千円)
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キーワード | 銅酸化物高温超伝導体 / STM / STS / 擬ギャップ / 電荷秩序 / 磁束芯 / 磁束線 / 磁場誘起反強磁性秩序 / 磁束状態 / 中性子散乱実験 / 磁束線格子 |
研究概要 |
ランタン系銅酸化物高温超伝導体La_<2-x>Sr_xCuO_4(La214)の超伝導状態で磁場を印加すると反強磁性秩序が誘起され、それが超伝導と共存することが、中性子散乱実験から報告された。また、ビスマス系銅酸化物高温超伝導体Bi_2Sr_2CaCu_2O_<8+δ>(Bi2212)の走査トンネル顕微鏡(STM)・トンネル分光(STS)実験から、磁束芯における電子系のエネルギースペクトルが超伝導転移温度T_cより高温のノーマル状態と同様なギャップ様構造(擬ギャップ)を示すことが明らかにされている。さらに、磁束芯を中心として4a×4aの変調構造が発達することも報告されており、この変調構造が磁場誘起反強磁性秩序と関係するものと考えられている。本研究では、磁場誘起反強磁性秩序の起源、擬ギャップの起源、そして、超伝導の発現機構に関する知見を得るために、Bi2212における4a×4aの変調構造についてSTM/STSの実験から調べた。 1.Bi2212の擬ギャップ状態で4a×4aの電荷秩序が観測される試料とされない試料が存在することが明らかとなった。 2.電荷秩序がより強く観測される試料ほど擬ギャップのサイズが空間的に不均一になっていることも明らかになった。 これらの結果は、"擬ギャップ状態で観測される電荷秩序は、本来動的に揺らいでいるが、電子状態に不均一をもたらす散乱源があると、これがピン止中心となるために動的な電荷秩序は静的なものになる"ことを意味している。これまでにも「4a×4aの電荷秩序が高温超伝導体の擬ギャップ状態における隠れた秩序である」と主張されているが、本研究の結果はこのことを強く支持するものである。磁場中では磁束線がピン止中心となって静的な4a×4a電荷秩序が安定になっていると言えるが、この電荷秩序は反強磁性的な磁気秩序を伴っているものと考えられる。
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