研究課題
基盤研究(B)
ドメイン制御したり、異方性の高い高温超伝導の単結晶は大型化が困難なため、中性子散乱を行うためには複数の結晶を整列させて実効体積を増加させる必要がある。そのため、多数の単結晶を正確に効率良く配列して実効体積を大幅に高めるための手法を確立した。高エネルギーX線回折装置とCCDカメラを用いたシステムおよび中性子シンチレーターと高感度冷却CCDを組合せた中性子カメラの制作を行い、6枚のBi2212単結晶を高い精度で配列させ、0.53ccの体積を得ることに成功した。これは過去の代表的研究例のおよそ8倍に相当する。現在、日米科学技術協力「中性子散乱」を通じ、米国オークリッジ国立研究所において、磁気励起およびレゾナンスピークの探索を行っている。さらに本研究の一環として、超伝導と反強磁性スピンダイナミクスの関連性を明らかにするために、La_<2-x>Sr_xCuO_4の最適ドープ試料(x=0.15)のCuサイトに不純物を少量ドープした系を用いて、不純物によるT_cの低下と低エネルギー磁気励起の変化に関して系統的な非弾性散乱研究を行った。不純物のなかでも、非磁性不純物Znは磁性不純物Niよりも大きくT_cを抑制することが知られており、この両者を比較することで、T_cの抑制機構に磁性がどのように関連しているかを浮き彫りにできると考えた。不純物を含まないLa_<1.85>Sr_<0.15>CuO_4は超伝導領域で、低エネルギー磁気励起にスピンギャップが開くことが知られている。Zn不純物の場合、スピンダイナミクス全体はほとんど変化しないが、スピンギャップ内に新しい状態が現れることが分かった。一方、Ni不純物ではスピンダイナミクスがT_cの低下にともなって低エネルギー方向にrenormalizeされることが分かった。このことから、不純物の種類によってCuO_2面の超伝導状態が受ける影響が定性的に大きく異なることが明らかになった。
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