配分額 *注記 |
15,800千円 (直接経費: 15,800千円)
2005年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2004年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2003年度: 8,600千円 (直接経費: 8,600千円)
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研究概要 |
本研究は,高圧下で誘起される超伝導をはじめとする量子ゆらぎ効果を,NMRによりミクロスコピックな視点で研究することを目的として行われた.主となるf電子系の量子ゆらぎ効果の研究では,希釈冷凍機を用いた極低温領域までの測定が必要であるが,従来のピストン-シリンダー型高圧セルを用いた極低温/高圧下NMR測定では,2-3GPaが限界である.本研究では,NMR測定が可能な体積を有するインデンター型高圧セルを独自に開発し,前人未踏の5GPa/0.1KにいたるNMR測定に成功した.これを用いて,NMRによる以下の圧力誘起現象の研究を行った. (1)CeCu_2Si_2における高圧下でのT_C増大 常圧での超伝導は磁気ゆらぎによるものとされているが,高圧下ではT_Cが増大する一方で磁気ゆらぎが著しく抑制される.T_Cが極大値を示す圧力近傍でも,常圧と同様のギャップレス超伝導が起きている. (2)PrFe_4P_<12>における圧力誘起金属-絶縁体転移 このM-I転移は本研究グループで発見された.P-NMR測定により,絶縁体相では反強磁性秩序がおきていること,M-I転移は一次転移であることが明らかになった. (3)LiV_2O_4における圧力誘起M-I転移 Li-NMRの結果,絶縁体相出現にむかって磁気ゆらぎが増大し,T_1=const.に近づく.これは高圧下で誘起される磁気不安定点近傍でM-I転移が誘起されることを示唆する. また,NMR測定には至っていないが,いくつかのf電子系化合物において,量子ゆらぎが関連していると思われる新奇な圧力誘起超伝導の発見に成功した.UIrは反転対称性のない結晶構造をもつ強磁性体ではじめての超伝導である.CeNiGe_3では反強磁性秩序が安定な圧力領域から超伝導が観測されており,磁気ゆらぎだけで説明できるのかが興味深い.
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