研究課題
基盤研究(B)
本研究は、超高圧高温条件下その場ラマン分光のための技術開発を行うことを目的して実施された。100GPa超領域でのラマン分光測定が可能な装置を建設し、放射光X線回折などと組み合わせることで圧力誘起相転移を多角的に研究することが可能になった。二酸化物の最充填構造の探索を行い、それまでに知られていた最も配位数の高いPbCl_2構造(9配位)が、さらに、充填率のより高い構造に相転移することを発見するなどの成果が得られた。一方、超高圧と同時に高温を発生させ、ラマン分光測定を行うという点では、十分に満足のいく成果を得ることはできていない。外熱方式を用いることで800K領域での測定には成功しているが、より高い温度での測定を成功させるためには、(1)安定した超高圧高温発生と(2)ゲート機能を利用した分光測定が必要である。(1)については、緩和発振パルス光を利用した新しいレーザー加熱方式の開発、および粉末c-BNを材料とした新しいガスケットの開発を行った。新加熱方式では、従来方式よりも低い投入エネルギーで試料の加熱を行うことが可能であり、装置にダメージを与える危険性を減少させ、よりコントロールされた加熱を行うことが可能になった。また、新ガスケットでは、広く使用されているReに比べ、約2倍の試料容積を確保することに成功した。試料体積を従来通りとすれば、従来よりも安定した圧力発生が可能であり、2倍とすれば、信号強度の面などで有利となる。(2)については、イメージインテンシファイア付きCCDカメラなどを利用した測定を行うことができれば、目的の実現に向け大きく前進できたと思われるが、残念ながら予算的な制約から断念せざるを得なかった。本研究では、超高圧高温実験のための幾つかの重要な技術開発に成功した。今後、予算を獲得して、ゲート機能付き検出器を導入することで本研究の当初の目的を達成したい。
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