配分額 *注記 |
16,400千円 (直接経費: 16,400千円)
2006年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2005年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2004年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
2003年度: 7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
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研究概要 |
成層圏突然昇温現象(SSW)発生期前後における成層圏-対流圏間の力学的上下結合のメカニズムとその予測可能性を解明することは,対流圏循環の中長期予報の精度向上にとって極めて重要である.本研究では,気象庁一ヶ月アンサンブル予報データや長期間の全球気象データの解析,あるいは大気大循環モデルや気象庁現業一ヶ月予報モデルを用いた数値実験の結果を解析することにより,SSW発生期における成層圏-対流圏間の力学的上下結合の力学と予測可能性に関し,以下の知見を得た. 1.2001年12月に生じたSSWのように,比較的単純な振る舞いを示すSSWの発生は,少なくとも2週間以前から予測することが可能である.この予測可能な期間は,対流圏循環の予測可能な期間に比べ2倍以上長い. 2.SSWのオンセット時には,SSWの予測の初期値依存性が極めて大きくなる. 3.SSWを引き起こす前駆現象として,対流圏内のブロッキング現象に伴う循環偏差が重要であることが統計的に確かめられた.さらに,予報実験を実施することにより,この循環偏差が実際にSSWを引き起こすことが確認された.また,成層圏循環は,この循環偏差の大きさに非線型的に応答する. 4.SSWの発生直後に発生する帯状風偏差の下方伝播の予測可能な期間は一週間程度である.また,帯状風偏差の下方伝播は,対流圏から上方伝播する波数2の惑星規模波に伴うE-P fluxの収束によって引き起こされる.また,この波数2の伝播特性は,対流圏高緯度域における圏界面付近の帯状風分布に強く依存する. 5.2004年1月に生じたSSWのように,より複雑な時間発展を示すSSWの予測可能な期間は9日程度と短い. 6.冬季成層圏における環状変動モードが卓越する年に,成層圏の環状変動モードの予測可能性は大きくなる傾向にある.
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