配分額 *注記 |
11,500千円 (直接経費: 11,500千円)
2005年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2004年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
2003年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
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研究概要 |
本年度は,足摺岬沖の沖合域と沿岸域に設置されていた2測点のIES(inverted echo sounder:倒立音響測深器)の音波伝達時間のデータから,各々の海域でのGEM(gravest empirical mode)法を用いて水温・塩分の鉛直断面を推定し,海面力学高度の時系列を求め,2測点間の黒潮の傾圧流量の時系列変動を記述した。船舶によって間欠的に行われてきたCTD観測データから計算した海面力学高度と,同じ時期のIESデータから求めた海面力学高度を比較したところ,両者の差のrms(root-mean-square)値は,沿岸域で3.2cm,沖合域では2.5cmであった。一方,同じCTD観測データの海面力学高度偏差を,衛星海面高度計の海面高度偏差と比較すると,rms差は沿岸域で3.6cm,沖合域で2.9cmだった。これらのことから,IES観測による海面力学高度の推定は,衛星海面高度計と同程度以上の精度で行えることが確認できた。また,表層近くの季節躍層内に限定されたステリック・ハイト成分を,単純な年周期の正弦波を用いて近似した場合,その誤差は衛星海面高度計では5cm程度なのに対し,音波の伝達速度を使って観測するIESでは2cm程度に収まることが,CTD観測データを用いて試算された。 また,黒潮変動に関する知見や,IES解析結果の対比に用いるためのデータセットの整備を今年度も行い,淡青丸KT05-23次航海による四国沖ASUKA測線の現場観測データや,衛星海面高度計データと漂流ブイ観測を用いた海面での絶対流速場による黒潮流軸変動の記述に関する記述などを追加/延長した。特に,黒潮流軸の変動は,IESデータから求めた沿岸と沖合の2測点間の黒潮傾圧流量の時間変動に強い影響を及ぼすことが確認された。 さらに,3年間の成果をまとめて報告書を作成した。
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