配分額 *注記 |
15,900千円 (直接経費: 15,900千円)
2005年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2004年度: 5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
2003年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
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研究概要 |
野尻湖の湖底堆積物について,平均で深度2cmごとに有機炭素(TOC)と全窒素の(TN)分析を行い,また,同じ試料について花粉分析を行って,平均で50年程度の精度で過去6万年間の古気候変動を復元した.また,長野市南部に分布する高野層でボーリングを行って,16万年前から4万年前までの連続的で均質な試料を採取した.この試料を深度1cmごとに分割し,TOCとTNについて約5000個の分析を行い,平均で26年の時間精度での古気候復元と行った.この結果は,深度100〜50cmごとに行った花粉分析によっても裏付けられている. 野尻湖堆積物と高野層の試料の分析結果を合わせることで,日本アルプス北部の古気候変動を16万年前まで,26〜60年ほどの高い時間分解能で解明することができた.これは日本列島の古気候試料としては最も高い時間分解能を持つとともに,最も長い期間をカバーする連続資料である.また,復元された古気候変動は,陸域の特徴を反映していること,広域テフラによって日本各地と精密な対比ができるという長所をもっており,日本列島における標準的となりうる資料である. 古気候を長期間にわたって具体的に解明することと平行して,TOCやTNが表す気候変動の意味づけを検討し,冬の気温が生物生産性の増減を引き起こし,その結果が堆積物中の有機物量として記録されるという過程を解明して,TOCとTNの気候指標としての意義を明確にした.また,TOC,TNを測定するためにFlash EA1112を新規に購入し,多数の試料を能率的に分析して研究結果を早期に明らかにできるシステムを整備し,2年余で合計9000試料の分析を行った.
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