研究課題/領域番号 |
15340191
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
地球宇宙化学
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
平田 岳史 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (10251612)
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研究分担者 |
井田 茂 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (60211736)
榎森 啓元 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (30262257)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
14,000千円 (直接経費: 14,000千円)
2005年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2004年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
2003年度: 6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
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キーワード | タングステン同位体 / ハフニウム-タングステン年代測定法 / 地球化学試料 / イオンクロマトグラフィ / ICP質量分析法 / 安定同位体地球化学 / 酸化還元反応 / 同位体分別 / イオンクロマトグラフィー / 地球形成 / 金属コア形成 / 放射年代測定法 / 超微量元素分析 / 同位体分析 / 質量分析法 / 数値シミュレーション / 同位体分析法 / 超高圧変成帯 / タングステン濃度 / 物質大循環 / 地球内部構造進化 / ハワイ海洋島玄武岩 |
研究概要 |
地球中心部にある金属核が、地球史のどの時点で、どのようにして形成されたかを明らかにすることは、地球の形成・進化の歴史を理解する上で、最も基本的かつ重要なテーマであり、現在でも多くの研究者が精力的に研究を続けている難しいテーマでもある。本研究では、地球内部の核-マントル分離(核形成)に対して直接的な年代学的制約を与えることができると期待されているハフニウム-タングステン年代測定法の実用化を試みた。ハフニウム-タングステン年代測定法は、消滅核種を用いた年代測定法であるため、数値シミュレーションに匹敵する時間分解能(年代測定精度10万年〜100万年)で、太陽系初期の地質学的イベントを調べることができる。しかし、主としてタングステン同位体分析の難しさから、年代測定法としての実用化は遅れていた。本研究では、高感度タングステン同位体分析が可能なプラズマイオン源質量分析計(ICP質量分析計)を用いるとともに、新たに高回収率タングステン分離法を開発し、ハフニウム-タングステン年代測定法の実用化を目指した。 本研究では、MIBKを用いた液液抽出法と陰イオンイオン交換法を組み合わせることにより、試料中の微量タングステンをほぼ100%の高回収率で回収することが可能となった。さらに、レニウムを外部補正元素として用いた新しい同位体分析法により、0.01%以下の高い同位体分析精度でタングステン同位体分析を行うことができた。ここで開発した化学分離法および同位体分析法を用い、地球化学試料と金属質隕石(鉄隕石)試料から高精度タングステン同位体データを取得した。その結果、隕石試料では182W/183W同位体比が有意に変動していることが明らかとなった。これは、鉄隕石グループ間で金属-珪酸塩相の分離のタイミングが異なるか、あるいは太陽系星雲中でHf/W存在比に不均一性があった可能性を示唆する。一方、地球化学試料では、182W/183W同位体比に有意な変動はなく、地球がゆっくりとした集積過程で形成されたか、あるいは、地球成長の最終段階のジャイアントインパクトにより、Hf-W年代がリセットされた可能性を示唆している。さらに本研究では、いくつかの地球化学試料に含まれるタングステンが質量数に依存した同位体分別を受けていることを初めて見いだした。これは、本研究で開発した高回収率化学分離法と、レニウムを用いたタングステン同位体分析法により初めて検出可能な知見であり、大きな成果の一つと位置づけられる。タングステンの同位体分別の検出により、今後は、タングステンを用いた安定同位体地球化学と高精度ハフニウム-タングステン年代測定法の融合した新しい地球化学的議論が可能であり、例えば、地球の集積速度が遅かったのか、ジャイアントインパクトにより年代測定がリセットされたかの区別が可能になると期待できる。
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