研究課題/領域番号 |
15350011
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物理化学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
梶本 興亜 京都大学, 大学院理学研究科, 教授 (30029483)
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研究分担者 |
竹腰 清乃理 京都大学, 大学院理学研究科, 助教授 (10206964)
原 公彦 京都大学, 低温物質科学研究センター, 教授 (80025436)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
14,400千円 (直接経費: 14,400千円)
2004年度: 6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
2003年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
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キーワード | 流通型NMR / 高温高圧NMR / Claisen転位 / ニトロアルカンの熱分解 / 超臨界水 / 亜臨界水 / Sub-and supercritical water |
研究概要 |
超臨界水反応のその場観察と反応速度の決定を目指して、超臨界水用流通型高温高圧NMRを開発・改良した。本研究では、反応速度を定量的に決定出来ることが第一目標であり、それを用いて超臨界水中の有機反応の機構について確かな情報を得ることが第2の目標であった。 第一の目標を実現するためには、流通系の流路内の温度を混合点から観測点まで一定に保つことが要求される。このために補助ヒーターを付け加えて、2つの補助ヒーターと高温N_2ガスによって温度制御を行った結果、流路に沿った温度揺らぎは1℃以下に押さえられた。さらに、Binomial Pulse sequence法を用いて、大量にある水の^1Hシグナルを約1/400に抑制することによって、比較的低濃度でも反応物や生成物の観測が出来るようになった。改良の成果を確認するために、Allyl phenyl ether (APE)のClaisen転位反応について、流速を変えてAPEの減少過程を直接追跡し、1次プロットによって反応速度定数を求めた。さらに、温度を変えて反応速度定数を決定し、アレニウスプロットにより活性化エネルギーを算出した。活性化エネルギーは25.5±1.0kcal/molと決定され、これは低温で求められている他の溶媒中での活性化エネルギーと比較して妥当と考えられる。 第二の目標については、亜臨界・超臨界水領域におけるニトロエタンの熱分解反応の機構を明らかにした。CH_3CHO、CH_3COOH、CH_3CONH_2などの生成物の経時変化を追い、aci-nitroethaneやN-hydroxyacetamideなどの中間生成物を観測することによって、3つの分解経路が進んでいることを確定できた。すなわち、aci-nitroethaneからNef反応を経てCH_3CHOに至る経路(主反応)、N-hydroxyacetamideを経てCH_3COOHとCH_3CONH_2を生成する経路、そして、直接にCH_3CNを生成する経路である。第3の経路は亜臨界では寄与が小さいが、高温になるに連れて大きくなる傾向がある。また、いくつかの温度におけるニトロエタンの熱分解速度も決定し、280-340℃の温度範囲での活性化エネルギーが55.6kJ mol^<-1>と求められた。
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