研究課題/領域番号 |
15350023
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
有機化学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田村 類 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 教授 (60207256)
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研究分担者 |
津江 広人 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 助教授 (30271711)
高橋 弘樹 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 助手 (00321779)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
8,700千円 (直接経費: 8,700千円)
2006年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2004年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2003年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
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キーワード | 結晶多形転移 / カオス / 優先富化現象 / ラセミ混晶 / 対称性の破れ / 光学分割 / 複雑系相転移 / エピタキシャル転移 / 有機結晶 / 相変化 / X線結晶構造解析 / 過飽和溶液 |
研究概要 |
本研究により、これまで結晶化プロセスの中でもその詳細が不明であった、1.過飽和溶液中での超分子会合構造、2.過飽和溶液から速度論的に生成する準安定結晶相の単離と結晶構造、3.過飽和溶液中で起こる準安定結晶相から安定結晶相への多形転移のメカニズム、を明らかにするための一般的な方法論を確立することができた。 その結果、我々が発見した光学分割現象である「優先富化現象」は、対称性の破れを簡単に引き起こす非平衡複雑系の現象であることが判明した。すなわち、分子の前核会合体や準安定結晶相は一種のカオス状態と考えられ、そのカオス間の相転移(結晶多形転移)が複雑系特有の対称性の破れを引き起こし、さらに、収穫逓増現象(一方のエナンチオマーの増幅)を伴い、高効率の光学分割が達成されたのである。複雑系相転移の制御は種々の外的要因により可能なはずであるので、優先富化現象についてもその点を検討した。その結果、適切な種結晶を添加して多形転移の様式を制御することにより、優先富化現象の誘起と阻害を制御できることが明らかとなった。この事実は、これまで著者が提唱してきた優先富化現象のメカニズムが妥当なものであることを示すとともに、種結晶で多形転移を制御することが可能であることを示した初めての例でもある。この種結晶表面上で起こる多形転移をエピタキシャル転移と命名した。今後、このエピタキシャル転移の概念は、有機結晶の多形制御を行う上できわめて重要な指針を与えると考えられる。 また、本研究期間中に、優先富化現象を引き起こす新たな多形転移様式を見つけ、その様式は一義的ではなく、多様性と柔軟性があることも判明した。したがって、これまでは、優先富化現象は、ラセミ混晶に分類されるある種のラセミ結晶に特有の現象と考えていたが、通常のラセミ化合物結晶の場合でも、ある一定の条件を満たせば、優先富化現象が発現する可能性は高い。
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