研究概要 |
キャピラリー電気泳動(CE)及びマイクロチップ電気泳動(MCE)によるタンパク質分離検出の高性能化を目指し,(1)マイクロチップ等電点電気泳動(MCIEF)による高性能分析,(2)タンパク固定化表面を用いるキャピラリー電気クロマトグラフィー(CEC)及びマイクロチップ電気クロマトグラフィーによる高性能キラル分離,(3)オンライン試料濃縮法を用いるMCE分析の高感度化,(4)熱レンズ顕微分光(TLM)法を用いるCE及びMCEの高感度化,(5)質量分析法(MS)を検出法とするMCEシステムの高性能化,に関する研究を推進した。 1)モデルタンパク質4種のMCIEF分析において,210秒で各試料の分離・収束が達成され,各々の等電点値と収束位置との間に良好な直線関係が得られた。 2)アビジン(塩基性タンパク)をキラル識別剤としてキャピラリー内面に固定化しキラル分離を行ったところ,アブシジン酸,イブプロフェン,ケトプロフェン,フルビプロフェンの光学分割が達成された。 3)新規に設計製作した石英製Tクロス型チップを用いるMCEにおいて,電圧制御により超純水プラグおよび試料プラグを任意の体積で導入し,ミセル動電クロマトグラフィー(MEKC)モードでのスタッキング法(SRW)による濃縮が可能であることが確認された。 4)アゾ色素類を試料に用いてマイクロチップMEKC (MCMEKC)-TLMの性能を検討した。スウィーピングによるオンライン試料濃縮を適用したMCMEKC-TLMでは,サンセットイエローについて検出限界濃度4nM(試料注入量 8 amol)を得た。 5)エレクトロスプレーイオン化(ESI)インターフェースを利用したMSによるMCE-ESI-MSについて検討し,数種のペプチドおよびチトクロムCの検出に成功した。
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