研究課題/領域番号 |
15350052
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
合成化学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
浅尾 直樹 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60241519)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
15,200千円 (直接経費: 15,200千円)
2004年度: 5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
2003年度: 9,400千円 (直接経費: 9,400千円)
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キーワード | 芳香環化反応 / ナフタレン化合物 / ベンゼン化合物 / 銅触媒 / ブレンステッド酸 / ルイス酸触媒 / Diels-Alder反応 / レトロDiels-Alder反応 |
研究概要 |
報告者は、塩化金触媒存在下でオルト位にアルキニル基を有するベンズアルデヒド1とアセチレン化合物2を反応させると、ナフタレン骨格が一気に構築できることを既に見出している。反応は基質1のアセチレン部位が塩化金に配位することで活性化され、これを通してカルボニル基が活性化されてベンゾピリリウム型中間体3が形成されると考えられる。続いてこれに対しアセチレン化合物がDiels-Alder反応を起こしビシクロ型中間体4となり、これからカルボニル酸素が転位して生成物5が得られたと考えられる。本反応は優れた芳香環形成反応であるが、常に生成物がケトン官能基を有することになる。ところが報告者は、本反応を銅触媒とブレンステッド酸複合系で行ったところ、ケトン官能基を持たない芳香環が構築できることを見出した。この反応は、金触媒と同様に銅触媒により中間体4が形成されると思われるが、この4にブレンステッド酸が付加することにより炭素-酸素二重結合が単結合に変換した中間体6が生成し、レトロタイプのDiels-Alder反応が起こるものと思われる。更に本反応をベンゼン環構築に応用したところ同様に反応が進行し、収率よくベンゼン化合物が得られることを見出した。更に興味深いことに、本反応をアセチレン化合物2の代わりにα位に水素を有する脂肪族アルデヒド化合物7やケトン化合物8を用いて、塩化金触媒存在下で1と反応を行ったところ、アセチレン化合物2を用いたときと同様に、α位にケトン官能基を有するナフタレン化合物が一気に合成できることを見出した。本反応は反応系内でアルデヒドやケトンがエノールフォームを形成し、これが上記中間体3に対しDiels-Alder反応を起こしたと考えられる。以上のように報告者は、π電子活性型ルイス酸を用いることにより、極めて効率的な芳香環化反応の開発に成功し、多置換芳香族化合物の精密合成に成功した。
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