配分額 *注記 |
12,900千円 (直接経費: 12,900千円)
2005年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2004年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
2003年度: 5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
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研究概要 |
ケトン(R^1COR^2)とアリル金属試薬(R^3CH=CHCH_2M)3との反応によってγ-付加体ホモアリル型アルコール(R^1R^2C(OH)CHR^3CH=CH_2)1が立体選択的に得られる.1は、酸触媒存在下でアルデヒド(RCHO)と反応し相当るヘミアセタール(RCH(OH)OCR^1R^2CHR^3CH=CH_2)H_1続いてオキソカルベニウムイオン中間体,さらにその最安定6員環イス型遷移状態TSIを経由する[3.3]-シグマトロピー転移によるアリル移動反応(allyl-transfer reaction)(野上が命名)を経て(x-付加体ホモアリル型アルコール(RCH(OH)CH_2CH=CHR^3)2を生成する反応を発見した. 本反応は立体特異的に進行し,光学活性1からはその光学純度を100%保持して光学活性2が得られることを明らかにした.本反応を応用し,不斉補助剤として光学活性メントンを用いるアルデヒドの簡便な不斉2-アルケニル化反応を開発した.光学活性メントンは,安価で光学的に純粋なメントールの両鏡像体を酸化して容易に得られることから2の両鏡像体のいずれをも必要に応じて自由に合成することができる簡便な手法を開発できたことになる.メントン誘導体アリル供与体1は,メントンに任意のGrignaid試薬3(M=MgCl)を反応させて収率良く調整できることから,従来の不斉アリル化反応でアリル供与体として汎用されたアリルスズ試薬に比べ環境調和型反応と言える.一方,不斉祐助剤として光学活4生(+)-イソメントンを用いると,3との反応ではジアステレオマー混合物としての1が得られ,その両方がアルデヒドに対してallyl-transfer反応する.したがって,不斉アリル化反応としてはジアステレオマーの分離が必要となるが,シリカゲルカラムクロマトで容易に分離できた.その一方をallyl-donorとするアルデヒドヘのallyl-transfer反応からはZ体2のみが得られることを見出した.これは,最初のアルデヒドへの高立体選択的Z-2-アルケニル化反応である. これらの光学活性(α-付加体ホモアリル型アルコール2を用いるPrins環化反応によって光学活性2,3,4,6-4テトラヒドロピラン誘導体の簡便な合成法を確立した. また,Katsuki-Sharpless AEによって得られる光学活性エポキシドを経由して,Me_2C(OH)C^*H(CH_2OBn)CH=CH_21bを簡便に調製する方法を確立した.1bを用いるアルデヒド(RCHO)へのallyl-transfer反応によって収率良く光学活性E-4-benzyloxybut-2-enyl化生成物(RC^*H(OH)CH_2CH=CHCH_2OBn)が得られることを見出した.γ-位に基(Y)を有するMCH_2CH=CHCH_2-Y(Mは金属)型の求核剤の調製はE2脱離が優先するため不可能であるが,本反応は求核的な反応ではなくallyl donor 1bによる最安定6員環イス型遷移伏態を経由するシグマトロピックな反応であるため全く問題なく炭素延長反応が進行する.この手法の展開によって,アルデヒドの不斉Z-4-benzyloxybut-2-enyl化など,従来法では不可能であった種々の(アノレデヒドへの)アリル化に成功した.
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