配分額 *注記 |
5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
2005年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2004年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2003年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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研究概要 |
本課題では,水素結合の相関と連鎖性に注目し,多糖や蛋白質のゲル化現象,ヘリックス形成とその凝集による熱可逆ゲル,ジッパー型架橋領域を有する熱可逆ゲル,について統計力学的手法で理論研究を行った.また,これらに並行してバネ・ビーズ模型を用いた分子シミュレーション(MDおよびMC)を行った. 1.多糖類に見られるヘリックス形成とその凝集によるゲル化 単鎖ヘリックスの多重凝集架橋と多重ヘリックス架橋を峻別し,ヘリックスの核生成・成長速度が架橋形成速度より十分に速い系(カラギーナン等)について相図上でゾル・ゲル転移線を導出した.転移線より架橋長と架橋多重度を推定する拡張エルドリッジ法を確立した.ダブルヘリックス架橋の場合,希薄溶液の冷却により,長いランダム鎖が短いヘリックスで架橋されたタイプIの網目構造から,長いヘリックスが短いランダム鎖で結合されたタイプIIの網目構造に入れ替わり,さらに低温では剛直ヘリックスが凝集したペアリング相になることが示された.カラギーナンの旋光度測定結果と良好な一致がみられた. 2.側鎖型ヘリックスゲルの生成 側鎖に短い多糖鎖を多数有する水溶性高分子の側鎖ヘリックス架橋によるゲル化現象を解析し,コイル・ヘリックス転移(スーパーコイル)に誘導されたシャープなゾル・ゲル転移が起こることを示した. 3.連鎖性水素結合 高分子系における水素結合の特徴として,相隣る結合ボンド間の強い相関と連鎖性が挙げられる.水溶性高分子に見られる連鎖性水和,ジッパー型連鎖水素結合によるゾル・ゲル転移等に関して,会合溶液理論をもとに相分離とゲル化の競合現象を統計力学的に解析した.
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