配分額 *注記 |
12,400千円 (直接経費: 12,400千円)
2005年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2004年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2003年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
|
研究概要 |
本研究では不斉分子を用いて新規キラル分子性超伝導体を開発し、新規物性を開発することを目的とし、BDH-TTP分子ならびにその誘導体にメチル基により不斉導入した3種の新規不斉分子を用いて、キラル分子性超伝導体の開発を行った。meso-DMDO-MMT塩と(R, R)-DMDO-MMT塩はいずれも半導体性質を示した。結晶の質も悪いため、構造解析を行うに至らなかった。meso-DMDO-MET塩と(R, R)-DMDO-MET塩も半導体的挙動を示した。ドナーとアニオンの比は1:1(BF_4塩)や3:1(PF_6塩)であった。BDH-TTPのジメチル体であるDMDH-TTP(3,シス体とトランス体の混合物)からは、低温(4.2K)まで金属的である(meso-DMDH-TTP)_2X(X=AsF_6,PF_6、BF_4)が単結晶で、低温(4.2K)まで金属的挙動を示すI_3塩、低温で金属絶縁体転移を示すAuI_2、GaCl_4塩(金属絶縁体転移温度はそれぞれ9K、12K)を作成した。AsF_6,PF_6塩の構造的特徴は、β型のドナー層とβ"型のドナー層がアニオン層を挟んで交互に配列していることである。BF_4塩の構造的特徴はλ型のドナー配列を取り、一元的な開いたフェルミ面と閉じたフェルミ面を有している点である。キラルな(S, S)-DMDH-TTPを不斉源として(R, R)-2,3-ブタンジチオールを用い合成し、ラジカル塩として低温(4.2K)まで金属的挙動を示すBF_4塩、低温で金属絶縁体転移を示すAsF_6、AuI_2塩を作成した。AsF_6、AuI_2塩の金属絶縁体転移温度はそれぞれ96K、110Kである。AsF_6塩についてはX線構造解析を行った結果、ドナーとアニオンの比が3:1でドナーはβ型に積層している事を明らかにした。また、一部のメチル基においてはdisorderが観測された。圧力を加えたり、対イオンを変えて超伝導体を開発することが今後の課題として残された。
|