研究概要 |
1.直線偏光のNd:YAGナノ秒パルスレーザー(基本波長1064nm)の基本波と2倍波(532nm)との混合波を薄膜に照射し,位相整合した周期的なχ^<(2)>構造を形成させた。この場合,基本波と2倍波の偏光方向に依存して,周期的なχ^<(2)>構造の偏光特性は自在に変化させることができる。 2.平成15年度は,直線偏光のNd:YAGピコ秒パルスレーザーの基本波と2倍波を用いた干渉光によるχ^<(2)>グレーティング(χ^<(2)>回折格子)への画像や情報(データ)の書き込みとその基本波による読み出し(読み出しはχ^<(2)>グレーティングからの情報であるので,第2次高調波での読み出しとなる)ならびにこれらを応用したホログラム記録を行った。 3.平成16年度は,分子内に共役構造が広がったBTAPVB分子ガラスのオプティカルポーリングを行いそのχ^<(2)>構造の特性を評価した。スピンキャスト法を用いて,BTAPVB分子ガラス薄膜を基板上に作製した。その後,基本波強度と2倍波の強度を様々に変化させる種々の条件でオプティカルポーリングを実施し,最適ポーリング条件を得た。χ^<(2)>構造形成において,Dipolar成分のみならずoctupolar成分からの寄与もかなりおおきいことが判明した。χ^<(2)>の成長速度(d_X^<(2)>/dt)はE_ω^4E_<2ω>に比例することが判明し,このことは励起エネルギー355nmに対応する2光子励起(ω+2ω)と3光子励起(ω+ω+ω)を経由してχ^<(2)>構造が形成されていくことが示された。χ^<(2)>テンソル成分の評価を行った結果,Xxxx:Xxyy:Xxxy:Xyxx:Xyyy:Xyxy=2:1:0:1:1:0となることがわかり,励起パルス光の偏光方向(X方向)に最大のχ^<(2)>テンソルを誘起できることが判明した。
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