配分額 *注記 |
11,700千円 (直接経費: 11,700千円)
2005年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2004年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2003年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
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研究概要 |
1.垂直強磁性膜の作製 スパッタリング法により,p-GaAs基板上へ強磁性薄膜を作製した.垂直に入射するレーザ光の照射方向に平行に磁化をそろえるために,比較的低磁界で垂直磁化膜となるGdTbFe膜(20nm)をp-GaAs基板上に作製した.なお,半導体と強磁性膜の界面のショットキー障壁が光伝導電流の妨げになることが昨年度の実験で明らかにされており,光伝導電流がトンネル効果で強磁性体に拡散するようにGaAs表面と強磁性膜の間にAl_2O_3膜(2nm)を挿入した. 2.スピンフィルターの研究 GaAs基板内に円偏光レーザでスピン偏極電子を励起し強磁性体の電流を測定した.電極は強磁性膜およびGaAs基板裏にそれぞれCu膜およびAu膜を蒸着した.厚さはいずれも20nmである.830nmの直線偏光のレーザ光をBabinet-Soleiz位相補償板を通して,励起光の偏光状態を直線変更から円偏光状態に変化させ,集光レンズを通して強磁性体膜側から試料に照射し,光電流を測定した.直線偏光の場合と比較して,左右円偏光の場合には1.2%の光電流の強度の変化が認められ,光伝道電流のスピン依存性が確認された. 光伝導電流のスピン依存性が確認されたが,その差は1.2%と小さかった.この原因として(1)作製した強磁性膜の磁気特性が十分でないこと,および(2)Al_2O_3膜によるスピン緩和,の可能性が考えられ,今後の課題である. 3.高性能スピン偏極電子線源の開発 本研究はGaAs基板から励起された50%以下の偏極度のスピン偏極電子を用いた実験で終了した.より精密な検討には100%近い偏極度を有する光電子を用いることが必要である,このため,GaAs/GaAsP歪超格子を用いたスピン偏極電子線源を開発し,その励起機構を明らかにした.
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