配分額 *注記 |
15,200千円 (直接経費: 15,200千円)
2005年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2004年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
2003年度: 6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
|
研究概要 |
本研究の目的は,フェムト秒レーザーによる新しいナノテクノロジーの開発を念頭におき,硬質薄膜のレーザーアブレーションにおいて研究代表者らが発見した周期的ナノ構造の生成と選択的結合構造改質の条件を解明すると共に,その相互作用モデルを構築することである。 得られた主な成果は以下の通りである。 ・TiNやダイヤモンド状炭素(DLC)の硬質薄膜表面に,波長λのフェムト秒レーザーパルスをアブレーションしきい値の近傍のフルーエンスで照射することにより,間隔λ/10〜λ/5の周期的ナノ構造が形成されることを発見した。構造形成の条件を明らかにすると共に,構造と構造サイズをレーザーの偏光,波長,及びフルーエンスで制御できることを示した。 ・さらに,ナノ構造生成とほぼ同じ照射条件下で,DLC中のsp^3結合を選択的にsp^2へ転移させ,絶縁性のDLCを導電性のガラス状炭素(GC)層に改質できることを発見した。 ・フルーエンスと照射パルス数を変えてDLC膜表面での反射率を測定し,表面ナノ構造生成と反射率との間に密接な相関関係があること,及びパルスの重畳効果(したがってIncubation効果)がナノ構造の生成に大きく寄与していることを明らかにした。 ・ポンプ・プローブ法を用いてDLC膜の反射率を測定した結果,照射するポンプパルス数の増加と共に反射率が増大する現象を発見し,この現象が,ポンプとプローブパルスの干渉によってDLC表面にグレーティング構造が生成されたためであることを明らかにした。 ・このグレーティング構造,表面ナノ構造,及びラマンスペクトルの測定により,DLC表面でナノ構造生成が表面改質の後に誘起されていることを突き止めた。 ・以上の実験結果から,フェムト秒レーザーの照射によって標的表面で誘起される局所場生成を基礎にした相互作用モデルを構築することに成功した。
|