研究概要 |
本研究では,高速工具サーボで創成された大面積3次元微細計測基準面形状を加工機上で計測し,計測データを元に同じプローブで補正加工を行い,大面積3次元微細計測基準面形状の加工精度を向上させることを目的とする. 前年度の実験では,プローブの主分力方向の周波数特性が低い値を示したので,今年度ではまずプローブ機構の改良により,周波数応答を500Hzから1kHzまで向上することができた.また,分解能が1nmの小型の変位センサをプローブに組み込んむことによって,プローブをクローズドループで高精度に駆動できるようにした.それによって,最大で100nmのヒステリシス誤差が10nm程度に低減された.計測基準面に適する高安定光学ガラスを試料とした機上計測加工実験では,超精密旋盤に開発したプローブを搭載して,プローブの高速工具サーボ機能でワーク表面に微細形状の創成加工を行い,従来の高速工具サーボと同等の加工特性を有することを確認した.さらに,脆性材料の加工に重要な工具磨耗についても調べ,磨耗対策としてエタロールを切削油に使用することの有効性を確認した.その後,ワークをチャックに取付けたまま本装置の形状測定機能でダイヤモンド工具を測定プローブとして使い,加工面の形状測定実験を行った.形状測定時は,工具と試料面を接触させ,力センサの出力が一定になるように自作のPIDコントローラでフィードバック制御を開始し,超精密旋盤のスピンドル及びX軸スライドを走査して形状測定を行った.測定結果から,本プローブによる形状測定精度は約10nm程度であることが示された.また,干渉顕微鏡で試料表面を観察し,測定によるダメージがないが確認されている.さらに,形状計測のデータを元に、またダイヤモンド工具で補正加工を行った.その結果,形状加工精度が一桁向上し,波長100μm,振幅15nmの3次元微細計測基準面を光学ガラスに高精度に創成するいう目標が達成できた.
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