研究概要 |
本研究は,研究代表者がこれまでに考案した超精密位置決め機構を組合せることで「3モード位置決めシステム」を構築し,最終的に長ストロークでありながらピコメートルオーダの分解能を実現できる超精密位置決め技術を開発し,超精密加工への応用を計ることを目的としている.この3モード位置決めシステムでは,「ツイストローラ摩擦駆動機構」が長ストロークの粗動モードおよびナノメートルオーダの分解能を持つ微動モード位置決めに使用され,「能動型静圧案内面」による位置決め機構がサブナノメートルからピコメートルオーダの分解能での超微動モード位置決めに使用される. 構築された3モード位置決めシステムでは,位置決めユニットを2組製作し,直角に配置してXYテーブルを構成し,パソコンおよびDSP(モーションコントローラ)により各位置決め機構を制御している.ツイストローラ摩擦駆動装置を用いた粗動モードでのストロークは40mmで位置決め分解能は数nm,ツイストローラ摩擦駆動装置のモータ軸を圧電素子で駆動する微動モードで分解能は0.2nmであった.能動静圧案内面を用いた超微動モードでのストロークは1μm程度であるが,分解能は25pmまで確かめている. 本研究を実施する中で,摩擦駆動装置と静圧案内面を接続するために用いていた静圧継ぎ手を能動制御することを着想した。そこでこの能動静圧継ぎ手を開発して位置決めシステムに組み込んでその特性を解析した結果,無限大の接続剛性を実現できるだけでなく,サブナノメートルオーダでの位置決めも行えることが分かった.これらの知見をまとめて特許申請を行っている. 今後は,本研究で得られた位置決め技術の超精密工作機械へ応用を計る一方,各位置決め機構の調整を行い,制御方法などを改良することでピコメートル位置決めの実現をめざす予定である.
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