研究概要 |
近年の機器の高品位化・低価格化に伴い,部品の高精度化・高平滑化や高能率化が求められている.このため,現在,高平滑部品の最終工程では,ラッピングやポリシング等の遊離砥粒による定圧力研摩加工法が用いられているが,加工能率が非常に悪いという課題がある.この観点から,研摩加工に替える目的で,固定砥粒法である研削加工において,研究代表者は,現在用いられているプランジ・トラバースでは,実現が難しい超平滑加工を可能とする新概念に基づく方法を考案・開発した.そして,横型角テーブル型研削盤により,平滑度・加工能率についての有用性が確認された.しかし,横軸研削方式では,格段の加工能率を得ることが難しかった. 本研究では,この点を踏まえ,その高能率化を図るために,超平滑研削加工法の加工能率を解析した結果に基づいて小径砥石を超高速回転させる方式の立型研削盤を設計試作し,その有用性を検討した.製作した立型研削盤は,汎用立型研削盤を改造したものと,新しく設計試作した4コラム型の高剛性立型研削盤の2台である.それらの検討とともに,多数の砥粒切れ刃が不規則に分布し,手動的評価が難しい砥石作業面上の切れ刃の自動画像処理による自動評価システムを構築した.また,横型角テーブル型研削盤を用いて,超平滑研削加工特性の検討を行った.その結果の概要は,以下の通りである. (1)新しく試作した,改造型および4コラム高剛性型の2種類の立型研削盤ともに,ファインセラミックや超鋼合金・焼き入れ処理ダイス工具鋼等の難削材金属を3次元測定で,50nm(Rz)程度以下,2次元測定で20nm(Rz)以下の仕上面に研削加工することが可能である.その加工能率は,横型研削盤の数倍以上である. (2)ファインセラミックの超平滑研削加工には,研削油剤の種類や希釈倍率などの研削液供給方法が大きな影響を及ぼす. (3)通常の研削加工法で考えられている砥石切込み10μmの100倍程度の砥石切込み1mmで,炭化けい素ファインセラミックの超平滑研削加工が行い得ることが見出された. (4)構築した全砥石作業面自動評価システムは,形直し・日直し,研削加工,砥石寿命に至る全研削作業過程で,定量的に切れ刃の挙動を追跡することが可能で,有用な砥石作業面評価システムであることが確認された.
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