研究概要 |
本研究では,超薄膜状潤滑膜による潤滑技術の確立をねらいとして,1nmオーダの隙間に閉じ込められた潤滑分子の動的なトライボロジー特性,特に動的粘弾性特性の測定方法の確立とメカニズムの解明を目的として研究を進めた.本研究では,高精度な隙間制御と高感度な力測定という相反する要請に応える新規な計測法の確立が必要となる.今年度はせん断力測定の高精度化,摺動により発生する動圧力や凝着力のような垂直方向の力の測定法の確立,さらにこれらを用いた超薄膜分子膜の測定に適用を試みた.以下に本年度実施の研究項目を述べる. ・高感度変位計測法を用いたせん断力測定法の高精度化:本研究では,ファイバ先端の球をレンズとして用いる新規な方法による高感度せん断力の測定法の高精度化を行った.さらに光ファイバ部を円筒マイクロレンズとして利用できることも示し測定法の汎用化に成功した.両者において検出光学系を最適化によるせん断力の最小検出限界サブnNという高感度力測定を実現した. ・垂直力の測定法の確立:新規に申請者が考案した音叉型垂直力測定法についての実現性について,放電加工により試作した双音叉型共振器による力センサにより原理的に可能であることを確認した。 ・超薄膜分子膜のナノトライボロジー特性の測定:ナノメートルオーダのすきまに閉じ込められた超薄膜状潤滑膜の粘弾性特性を測定し,本方法がナノ閉じ込め下の超薄膜状潤滑膜の力学特性の解明に有効であること確認した.
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