配分額 *注記 |
10,900千円 (直接経費: 10,900千円)
2005年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2004年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2003年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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研究概要 |
(1)摩擦振動現象の把握: 摩擦振動が発生する機構については,模型実験を行うことである程度知見が得られたと考えている.摩擦振動に関しては,従来は「スティックスリップ」と「自励振動」とが関連づけて説明されてきたが,スティックスリップは静止摩擦係数と動摩擦係数の違いにより滑りと停止を繰り返す現象に対してつけられた名称であり,一方,自励振動は負の減衰に起因する振動現象である.スティックスリップは必ずしも自励振動ではなく,等価な負の減衰が認められる状況においてスティックスリップが発生すると自励的に振動が継続することになると考えている. (2)摩擦振動の低減について: スティックスリップを避けるためには静止摩擦係数と動摩擦係数の差を小さくすればよい.最も簡単な方法は潤滑油にその特性をもたせることである.現在もATFがその目的に開発され使用されている.本研究でもATFと何も添加剤を加えていない基油とを比較して実験を行ったが,ATFの効果は大変大きく摩擦振動の発生を効果的に抑制することが可能であることが示された.しかし経年変化が生じ根本的解決には至っていない.摩擦振動による雑音を生じることが問題であるとすれば,まず摩擦板の面外振動を抑制するべきであると考えた.摩擦板の曲げに関する中立軸と摩擦面を一致させることができれば.摩擦力による中立面まわりの曲げモーメントを理論上はゼロとすることができる.このアイデアを実現するために実験を行ったが,摩擦板の面外振動は抑制できるものの,振動のエネルギーが他の部品に流れ込み,振動しやすい部分は継続的に振動を続けることが明らかになった. (3)MRダンパによる振動低減について 本研究では利用形態に基づくMR流体を利用した機器の設計手法について検討を行った.この分野の研究では特に機械設計と磁気工学の融合が必要であり,従来は設計時に予測した効果と実験値の隔たりが大きかった.本研究では、MR流体の流れに着目してせん断型と圧力型に分類し,それぞれの流れの場合に対して機器の設計手法を整理して提示した.しかし,当初の目的としたMR流体を利用したねじりダンパを開発するには至らず,今後の課題とした.
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