研究課題/領域番号 |
15360149
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
電力工学・電気機器工学
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
太田 昭男 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (10124728)
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研究分担者 |
福永 哲也 岐阜工業高等専門学校, 電子制御工学科, 助教授 (50249794)
中村 雄一 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (20345953)
稲田 亮史 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (30345954)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
13,100千円 (直接経費: 13,100千円)
2004年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2003年度: 10,600千円 (直接経費: 10,600千円)
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キーワード | 高温超電導 / 集合導体ケーブル / 多芯テープ線材 / 交流通電損失 / 交流磁化損失 / 数値解析 / 自己磁界 / 電磁設計 / 高温超電導テープ線材 / 交流損失 / パワーケーブル / 方形圧延法 / Bi2223相 |
研究概要 |
銀シース高温超電導線材を用いて数kA級のパワーケーブルを構成する場合、中間層の素線においては、隣接線が発生する数10mT程度(導体の軸方向および周方向)の外部交流磁界中において交流電流を輸送する必要がある。より現実に即した電磁条件下での評価を行なうために、交流外部磁界下で交流電流を輸送する高温超電導線材の全損失特性を測定する装置を構築した。通電損失と磁化損失を、線材に接続した電圧端子および線材周辺に配置した検出コイルで各々電気的に測定し、その算術和から全損失を決定した。印加磁界の方向は、線材軸方向に平行(縦磁界)とし、測定中は通電電流と印加磁界の周波数と位相が同一となるように調整した。構築した装置を用いて、交流縦磁界中における銀シース線材の全交流損失の測定を行った。その結果、数mT以下の低磁界振幅に対しては、全交流損失の主要因は通電損失が支配的であり、通常の加工法で作製した線材の全損失値は、Norrisによる楕円断面超電導体の通電損失解析値と良い一致を示した。一方、矩形変形法を用いて線材断面内のフィラメント配置制御を施した線材の全損失値は、通電損失のみの解析値よりも40〜50%程度低い値を示した。しかし、縦磁界の増加と共に全損失に対する磁化損失の寄与が増大し、10mT以上の磁界振幅領域では断面形状の異なる線材における全損失の振る舞いに大きな相違は見られなかった。縦磁界中の磁化損失について臨界状態モデルを用いた解析を行った結果、試作線材においては超電導フィラメント間に電磁的な結合が生じ、完全に多芯化した状態よりも磁化損失が大幅に増加していることが確認された。 更に、銀シース線材を用いた円筒状小型ケーブル導体における通電損失特性の評価を行った。多層化等の複雑な導体構造を有する円筒状集合導体ケーブルにおける自己磁界分布および通電損失を計算できるように数値解析手法を改良し、同一層内の隣接素線間ギャップや層間距離などの構造パラメータが、導体内の自己磁界分布および損失発生状況におよぼす影響を考察した。また、実験結果と数値解析結果との比較から、導体を構成する素線(テープ線材)の形状や配置が集合導体の通電損失特性におよぼす影響を検討した。その結果、多層構造を持つ集合導体ケーブルにおける通電損失を低減するためには、層間を鎖交する自己磁界を抑制すると同時に、テープ素線の端部近傍を鎖交する自己磁界を抑制すること(エッジ効果の抑制)が必要不可欠であることを明らかにした。前者については、層間距離の低減および各層の撚りピッチの調整により抑制される。後者については、断面形状(フィラメント配置)制御とバリア層の導入等による被覆母材の高抵抗化を実現した線材を素線として用いること、更に隣接素線間ギャップを小さくすることで実現できるものと考えられる。
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