配分額 *注記 |
15,600千円 (直接経費: 15,600千円)
2005年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2004年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2003年度: 11,800千円 (直接経費: 11,800千円)
|
研究概要 |
ナノドットオートマトンや超低消費型単電子メモリへの応用を鑑み,我々はシリコンドットを二次元的に敷き詰めた多重ドット構造を有するトランジスタを作製し,その単電子特性を評価してきた.また,二次元多重ドットトランジスタにおける単電子転送の可能性を解明するために,ランダム系多重ドット列における交流動作についてシミュレーションを行っている.本研究により得られた主な結果を,以下に示す. (1)作製した二次元シリコン多重ドットトランジスタは,70K以下の低温においてクーロンブロッケード現象に起因する電流振動を示し,単電子/単正孔トンネル特性が実現された.その特性から,キャリアは二次元ドットチャネル中の最もコンダクタンスの小さい経路を伝導するものと考えられる.また,光照射やサイドゲート電圧印加により,電流ピークのシフトや生成・消滅が観察された.シミュレーションによる解析から,伝導経路近傍のドット帯電により,単電子(単正孔)特性が変調されるものと考えられる. (2)特定のバックゲート電圧及びドレイン電圧の条件において,単正孔特性中にランダム・テレグラフ・シグナルが現れることを見出した.このテレグラフ・シグナルは,伝導経路中の正孔が,隣接するドットへトンネルすることにより,単正孔トンネル特性が変調されて起こるものと考えられる. (3)走査型表面電位顕微鏡(KFM)を用いて,トランジスタ動作時のチャネル中を流れるキャリアの観察を行った.その結果,室温動作において,チャネルの一部を流れるキャリアの視覚化に,世界で初めて成功した. (4)シミュレーション解析から,二次元多重ドットトランジスタに交流電圧を印加することにより,電子1個1個の転送であるターンスタイル動作や単電子ポンプ動作の実現可能性を示した.さらに,これらの動作条件が,そのデバイスの持つ安定状態図により決まることを明らかにした.
|