研究分担者 |
中野 正基 長崎大学, 工学部, 助教授 (20274623)
柳井 武志 長崎大学, 工学部, 助手 (30404239)
吉沢 克仁 日立金属(株), 先端エレクトロニクス研究所, 主任研究員
掛橋 英典 松下電工(株), 照明R&Dセンター, 主査技師
金井 泰久 長崎大学, 工学部, 講師 (00264200)
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配分額 *注記 |
15,200千円 (直接経費: 15,200千円)
2005年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2004年度: 6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
2003年度: 7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
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研究概要 |
Fe-Nb-Si-B系非晶質薄帯を応力下で結晶化させることにより,薄帯の長手方向に垂直な磁気異方性を誘導し,ナノ結晶薄帯の透磁率を制御する方法を開発した。誘導磁気異方性の大きさは印加張力に比例するため,結晶化熱処理中の応力値を制御して,所望の透磁率を得ることができた。 結晶化熱処理の方法に関しては,数種の方法を開発した。中でも,応力を印加した薄帯を電極に接触させながら高速で移動させながら連続熱処理する方法では,大気中での処理も可能であり,かつ,開発装置の最高移動速度である200cm/minにおいても磁気特性の劣化なしに透磁率を所望の値に制御することができた。この結果は,1秒程度の短時間熱処理で薄帯に所望の磁気異方性を誘導できることを示唆している。また,開発した方法では,必要な応力値をバッチ処理の場合に比べて約2/3に低減できることも明らかになり,透磁率制御のための必要応力の抑制と高速熱処理を両立することができた。 作製した薄帯試料からトロイダルコアを作製し,その磁気特性を従来型の透磁率制御コア(フェライトコア,アモルファスパウダーコア,センダストパウダーコア)と比較した。透磁率を300程度に制御したコアの透磁率は,本研究での測定可能範囲(2MHzまで)ではほぼ一定であり,その磁気損失はフェライトコアの1/3以下であった。また,直流重畳特性の観点からは,従来のフェライトコアに比べてコアサイズを1/3にすることに成功した。 以上の過程を経て,その磁気損失がフェライトコアの1/3,サイズを1/3に小型化した超低損失・透磁率制御型ナノ構造薄帯コアの工業化を可能にする基礎技術を確立できた。
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