研究概要 |
本研究で提案した光集積回路圧力センサは,一般的なダイヤフラム式光集積回路圧力センサの構造をベースにして,ダイヤフラム下部を密閉し,そこに圧力伝搬遅延部(小孔)を作り付けたもので,高耐圧,高感度を同時に実現できる。しかし,通常のセンサと異なり,圧力変化が生じたときにしか出力(光強度変化)が現れない。 平成15年度は,センサを試作して,その基本的特性の評価を行った。センサのダイヤフラムサイズは14mm×14mm×0.22mmで,ダイヤフラム下部の半密閉空間の体積は14mm×14mm×1.8mmとした。また,小孔の形状は長方形で,その大きさを93μm×25μmとした。測定では,試作センサを30cm×28cm×30cmの密閉容器の中に設置し,密閉容器内の圧力をステップ状に0.78kPaだけ上昇させた。その結果,圧力変化後1.4秒間,センサ出力の変化が観測され,その後再び定常値に戻った。変化が観測された1.4秒の間,センサ出力は最大で定常値の約20%だけ減少した。 平成16年度は,前年度に行った理論解析の不十分な点を改善し,出力持続時間が半密閉空間の体積Vと小孔の断面積Aの比V/Aに比例することを明らかにした。さらに,出力持続時間が瞬時圧力変化量の平方根に比例することも見出した。このような理論的知見を検証するため,半密閉空間の体積を一定とし,小孔の断面積と出力持続時間の関係について実験的考察を行った。小孔の形状は円形とし,その直径を20μm,25μm,40μmの3種類とした。測定の結果,直径20μmの場合,持続時間が1.8秒(理論値:0.34秒)となり,直径25μm,40μmのものについては,それぞれ1.8秒(0.22秒),1.9秒(0.08秒)であった。理論では直径が大きくなるにつれて,持続時間が短くなるが,実験では3種類とも約1.8秒と違いが見られなかった。
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