研究課題/領域番号 |
15360294
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
建築構造・材料
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
中込 忠男 信州大学, 工学部, 教授 (60111671)
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研究分担者 |
市川 祐一 信州大学, 工学部, 助手 (70324233)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
14,900千円 (直接経費: 14,900千円)
2004年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2003年度: 10,900千円 (直接経費: 10,900千円)
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キーワード | 柱梁溶接接合部 / 端部欠陥 / 内部欠陥 / 変形能力 / 等価亀裂寸法 / 降伏比 / 靭性 / J積分 / 溶接欠陥 / ダイアフラムの靭性 |
研究概要 |
本研究は代替タブを使用した際に発生し易い端部欠陥が柱梁溶接接合部の変形能力に与える影響について使用部材の機械的性質も総合的に考慮して実大破壊実験により許容限界寸法の提案を目的に検討を行った。得られた知見を以下に示す。 溶接欠陥が柱梁溶接接合部の変形能力に与える影響は大きく、本来その部材が持つ保有性能を大きく低下させる。また、溶接欠陥の評価方法として、大きさや分布形状が異なる場合でも等価亀裂寸法Aは柱梁溶接接合部の変形能力を評価する上で有功な手法となる事が明らかとなった。また使用鋼材の影響として、梁部材の降伏比及びダイアフラム部材の靭性についても検討を行った。溶接欠陥を有する場合においても、梁部材の降伏比は柱梁溶接接合部の変形能力に影響を与え、降伏比の低い鋼材を用いた場合の方が変形能力は高くなる傾向がある。またダイアフラム部材の靭性については、本実験の範囲においては、破壊起点であるHAZ部の0℃シャルピー吸収エネルギーが溶接の熱影響により高くなり、顕著な違いは見られなかった。 欠陥のサイズの影響としては、等価亀裂寸法A=8mm以下の場合は、変形能力の低下は見られない。逆にA=8mmを越えると保有性能が低下し始める。また、現行の超音波探傷基準を等価亀裂寸法に置き換えるとA=4.47〜7.09程度となる。よって現行の超音波基準は安全側の評価をしていると考えられる。 また、溶接欠陥の評価において定量的に把握する事と内部欠陥と端部欠陥の比較を目的に、欠陥を有する溶接接合部の引張実験を行った。その結果、内部欠陥は端部欠陥に比べ破壊しにくく、内部欠陥の欠陥長さは、端部欠陥の約2倍の欠陥長さで1.5〜2.0倍程度の変形量を持つ事が分かった。また、欠陥の高さが板厚の約7割を超えると板厚貫通欠陥と変形能力に顕著な差はなくなる。逆に、欠陥の高さが板厚の2割程度の比較的高さの低い欠陥に対しては欠陥長さが長くても変形能力に与える影響は少ない事が実験および解析的に分かった。故に、欠陥が変形能力に与える影響としては、欠陥の長さ方向より欠陥の高さ方向に大きい欠陥が破壊に対して敏感であると考えられる。 最後に、本研究で得られたデータを基に、『鋼構造建築溶接部の超音波検査基準・同解説』による超音波探傷試験の合否基準の見直しを図り、合否基準について緩和する事が可能なものについては緩和を図り、耐震安全性を十分満足し、より有効的且つ現実的な限界欠陥許容値の決定に反映する基礎資料の提示が出来たと考える。
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