研究概要 |
本研究では,環境アセスメント手法に関する研究の一環として,環境騒音の一つとして重要になってきている建設工事騒音の予測手法を確立することを目的とし,平成15,16年度の2年間にわたって研究を進めた.平成15年度には,(1)音響特性に着目した建設工事の分類,(2)各種建設工事用機械の騒音発生特性の把握について基礎的な研究を行ったが,それに引き続いて平成16年度には以下の検討を行った. (1)わが国における環境アセスメント制度に関する検討:本研究の意義と環境関係科学における位置づけを行うために,わが国における環境騒音に係るアセスメントに関する法体系の整理,環境モニタリング(管理)と環境アセスメント(予測)の関係などについて考察した. (2)建設工事騒音の予測体系:環境騒音のひとつである建設工事騒音について,アセスメントを行う場合のフローと必要な音響情報について,日本音響学会が提案している予測手法ASJ-CN-Model 2002を基礎として実際に予測計算を行う場合の具体的問題について考察した. (3)建設工事騒音予測のための騒音源特性の把握方法:時間的・空間的にきわめて多様な特性をもっている建設工事騒音の騒音源の音響放射特性を定量的に把握する方法について理論的に検討し,統一的な表示のために有効な各種騒音評価量を提案した. (4)実測調査による騒音源特性の把握:上記の検討結果に基づき,実際の代表的な建設工事の現場で実測調査を行った.この調査では,土工機械類,舗装工事用機械,コンクリート破砕機械,発破を対象とし,現場における具体的な測定方法および分析方法を検討するとともに,データの蓄積を図った. (5)騒音伝搬特性の測定法に関する検討:暗騒音が大きく時変性の影響が大きい屋外における音響伝搬特性を精度よく測定する方法として,継続時間が長いSwept-sine信号を用いる方法を開発し,その有効性を確認するために道路建設現場,トンネル内における騒音伝搬特性の測定に応用した. (6)騒音伝搬の数値計算法に関する検討:音の波動性が問題となる複雑な境界条件における騒音の伝搬特性を数値計算によって解析する方法として,時間領域有限差分法の適用を検討し,トンネル内の騒音伝搬を実際に解析した.
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