研究課題/領域番号 |
15360341
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
無機材料・物性
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
和田 智志 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (60240545)
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研究分担者 |
篠崎 和夫 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (00196388)
掛本 博文 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (10334509)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
13,700千円 (直接経費: 13,700千円)
2004年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2003年度: 11,000千円 (直接経費: 11,000千円)
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キーワード | チタン酸バリウム / ナノ粒子 / サイズ効果 / ポリマーハイブリッド材料 / 3次元コロイド結晶 / 遠赤外反射法 / 格子振動解析 / ソフトモード / 無機-有機ハイブリッドインク / プロピレンカーボネイト / 精密構造解析 |
研究概要 |
(1)欠陥の少ないチタン酸バリウムナノ粒子を作製する2段階熱分解法と、(2)チタン酸バリウムナノ粒子をプロピレンカーボネイト(有機溶媒)中に分散させたスラリーを用いた比誘電率測定と有限要素法によるシミュレーションを組み合わせた粒子誘電特性評価法という2つを組み合わせることで、チタン酸バリウムナノ粒子の誘電特性におけるサイズ効果を検討した結果、2段階熱分解法を真空中(〜1Pa)で行った場合は、約60nmの粒子径で最大比誘電率15000を得たのに対し、2段階熱分解法を大気中で行った場合は、約140nmの粒子径で最大比誘電率5000を得た。従って、本研究では以下の2つの問題点、(1)比誘電率がある粒径で最大値を示す理由、(2)合成法の違いにより、比誘電率のサイズ依存性が異なる理由、について検討を行った。まず最初に(1)の原因を検討する前に、スラリーを用いた比誘電率測定法以外に、チタン酸バリウムナノ粒子をエポキシ樹脂に種々の濃度で分散させたナノ粒子分散ポリマーハイブリッド材料を作製し、その誘電特性を評価した。その結果、誘電率5000のチタン酸バリウムナノ粒子を分散させたポリマーハイブリッド材料の比誘電率は、誘電率3000のチタン酸バリウム粒子を分散させたポリマーハイブリッド材料よりも同じ体積分率では常に大きな値を示す一方、誘電損失はほとんど変化しなかった。特に、40vol%で比誘電率62、60vol%で比誘電率80と、これまでに報告されたポリマーコンポジットの誘電率と同じ体積分率で比較すると、はるかに大きな値を示すことから、高い比誘電率が正しいことを明らかにした。またその周波数依存性についても検討を行い、数GHzまでは高い誘電特性を維持することを確認した。また、この高い比誘電率の起源を明らかにするため、遠赤外反射測定によりTHz領域での比誘電率のサイズ依存性について検討を行った。このため、チタン酸バリウムナノ粒子同士が最密充填構造を持つ3次元コロイド結晶を移流集積法により作製した。これを用いることで初めてチタン酸バリウムナノ粒子のTHz領域での比誘電率の測定に成功した。その結果、チタン酸バリウムの比誘電率を決定する最も振動数の低い光学振動モードであるソフトモードの振動数が、最大の比誘電率を持つ粒径において最も小さくなること、すなわちTHz領域での比誘電率がその粒径で最大になることを見いだした。従って、高い比誘電率が数十GHzという光の領域においてまで安定に存在できることを確認できた。このことは、このチタン酸バリウムナノ粒子分散ポリマーハイブリッド材料が遠赤外線の領域において、高い比誘電率を維持できることを意味する。今後は、この材料において非線型光学効果が実際に得られるのかについて検討を行う予定である。
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