配分額 *注記 |
10,400千円 (直接経費: 10,400千円)
2005年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2004年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2003年度: 5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
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研究概要 |
近年,均一系錯体重合触媒の進歩により,精密に一次構造の制御されたポリオレフィンの合成に有用なリビング重合が可能になりつつある。均一系錯体重合触媒を現行の懸濁重合プロセスや気相重合プロセスに適用するためには固体触媒化することが必要であるが固体触媒によるリビング重合はほとんど前例がない。本研究では,固体触媒によるリビング重合の可能性を確認するために,筆者らがこれまでに見いだした均一系リビング重合触媒の固体触媒化を検討し,以下の結果を得た。 (1)炭化水素への溶解性に優れる乾燥修飾メチルアルミノキサン(dMMAO)をシリカ,アルミナ,マグネシアなどの金属酸化物の表面水酸基と炭化水素溶媒中で反応させることにより,担持型活性化剤を調製した。これらの担持型活性化剤とキレート型ジアミドジメチルチタン錯体(1)を用いてヘプタン中0℃でプロピレン重合を行うと担体の種類によらず均一系(1-dMMAO)トと同様にリビング重合が進行することを明らかにした。さらに,担持系においては,均一系で見られた誘導期が消失し,成長反応速度もシリカ>アルミナ>均一系≧マグネシアの順で低下し,担体により成長反応速度を加速できることが明らかとなった。また,分子量分布は,マグネシア>アルミナ>シリカ>均一系となり担体により制御できることがわかった。さらに担持活性化剤中のアルミニウムの電子密度と成長速度に良い相関があることを見いだした。 (2)成長速度の加速が見られたシリカおよびアルミナ担持活性化剤と架橋型フルオレニルアミドジメチルチタン錯体(2)を組み合わせヘプタン中0℃でプロピレン重合を行うと,リビング重合が進行する2-dMMAO系に比べ重合初期活性は大きく増加したが,重合時間とともに失活し,連鎖移動反応も併発していることがわかった。 これらの結果は,担持型活性化剤を用いた固体触媒によるリビング重合では担持活性化剤のみならず,活性化剤と錯体の組み合わせも重要であることを示している。1の系は非晶性のアタクチックポリプロピレンを与えるため,気相重合への適用は検討できなかった。しかし,これらの知見は今後立体特異的担持型リビングオレフィン重合触媒を開発する上で,重要な指針を与えるものである。
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