研究概要 |
周圧下のクリープ試験は,古くから多くの研究者により研究されてきた.しかしながら,その破壊機構について不明な点が多いのは,最初から最後まで,試験片の状況を観察することが難しいからである.本研究は,透明な可視化ベッセル中に試験片をおいてクリープ試験をおこない,初期段階から破壊に至るまでの連続写真を撮影することを主たる目的としている.主たる成果は次に記す通りである.第一にクリープ試験に耐える可視化ベッセルを開発した.これまでの透明な可視化ベッセルには,アクリル樹脂を使用してきたが,長時間使用すると疲労が蓄積することがわかっていた.一応の目標を3ヶ月間の連続使用として,クリープ試験用可視化ベッセルを開発した.全体的なデザイン,透明部分の材質の検討,シール材の形状・材質の検討,さらに工作精度など検討事項は多岐にわたったが,無事に開発を終了した.第二に写真の撮影システムを開発した.植物の成長などを取り続けた例は多いが,これは一定時間ごとに撮影すればよく,さらに撮影期間があらかじめ予想できる.クリープの場合には,いつ壊れるかの予想が付きにくいし,さらに,変化の少ない2次クリープでは比較的長い時間毎に撮影し,変化の激しい3次クリープでは可能な限り多くの撮影枚数を確保する必要がある.そこで,歪速度と画像処理した画像とを相互評価する計算機プログラムを開発し,計算機で制御しながら撮影と映像の保存をおこなうことに成功した.第三に可視化ベッセルを用いて,クリープ応力を段階的にあげていくマルチステージ・クリープ試験をおこなった.マルチステージ試験では,試験片が破壊するまでの時間がある程度予測できるので難易度がかなり低下する.このマルチステージ・クリープ試験を実施したところ,3次クリープ等に関して,従来より多くの情報を得ることができた.他にも,周圧下での試験を多数実施し,多くの新規データを得た.
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