配分額 *注記 |
5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
2005年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2004年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2003年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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研究概要 |
高山鳥類イワヒバリ(Prunella collaris)の雌は,高順位の雄に求愛する.高順位の雄は,産卵前の複数の雌に対し配偶者防衛行動をとる.それゆえ,高順位の雄は劣位雄より,より多くの雌を獲得でき,より高い繁殖成功を得ている.しかし,劣位雄も低いながらも一定の繁殖成功を得ている.精子競争の理論に従えば,雄の順位ではなく,精子の質が父権に影響している可能性がある.本研究の目的は,雄の順位と精子の運動活性(精子速度,密度,運動割合),さらにホルモンレベルの関係を明らかにすることである.研究開始当時,鳥類の精子の運動活性を調べる簡便な方法は開発されていなかった.そこで,イワヒバリを研究対象とする前に,飼育下で順位を作るウズラを用いて精子の運動活性を調べる方法を開発するとともに順位と精子の運動活性,ホルモンとの関係を調べた.その結果,高順位の雄は低順位の雄に比べ精子の運動活性とホルモンレベルは高いことが明らかになった.ウズラの精子の研究では,Irvine Scientific社のBWW溶液を精子の希釈液として用いた.ところが,Irvine Scientific社は平成17年にBWW溶液の製造を中止した.そのため,それ以前にとったデータの分析は不可能となり,新たな希釈液が必要となった.平成15,16年度のイワヒバリのデータに17年度のデータを追加し,最終的なまとめをする研究当初の予定は実現不可能となった.平成17年はBWW溶液の代替品として広島大学で開発した広島希釈液を用い,イワヒバリの精子遊泳速度,精子活性率,精子生存期間,精子密度などの基礎的データの分析方法を新たに確立せざるを得なかった.現在は,ウズラの順位と精子運動活性の関係を論文としてまとめている.
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