配分額 *注記 |
10,800千円 (直接経費: 10,800千円)
2005年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2004年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2003年度: 5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
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研究概要 |
コミカンソウ科のカンコノキ属およびその近縁属(オオシマコバンノキ属、コミカンソウ属、ヒトツバハギ属、アマメシバ属)のさまざまな種を中心に、雌花の形態、植物の系統、送粉様式、胚珠寄生ホソガ類の形態・系統に関するフィールド調査と室内実験を行なった。まず、カンコノキ属の5種(カンコノキ、カキバカンコ,ヒラミカンコ,キールンカンコ)で、袋掛け・人工交配などの操作実験をもとに、自殖率などの調査を行なった。また花の匂いの採集と、液体クロマトグラフィーによる匂い物質の分離・同定・定量を行なった。その結果,ハナホソガは確かに植物の匂いによって誘引されていること,花の匂いは種間で顕著な違いが見られることなどが明らかになった。 次にラオスにおいて、さまざまな植物の送粉者群集を調査するとともに,コミカンソウ属数種の花の観察を行ない,それらの一部がホソガによって実際に送粉されていることを明らかにした。この結果は、コミカンソウ科において、絶対送粉共生が世界的な広がりをみせていることを示している。 次に、カンコノキ属とその近縁属の核遺伝子および葉緑体遺伝子の塩基配列を読み取り、系統解析を行なった。また、カンコハナホソガとその近縁種群の核遺伝子およびミトコンドリア遺伝子の塩基配列を読み取り、系統解析を行なった。また昨年度に発見されたカンコハナホソガの隠蔽種について,形態や行動,分子系統などの調査を行なった。隠蔽種の発見は,この送粉共生系の多様化過程を理解するために重要な示唆を含んでいる。 送粉偏利共生に関しては、チャルメルソウ属め送粉様式の調査を行ない、日本産のチャルメルソウ類のほとんどがキノコバエ媒であることを明らかにした。また,チャルメルソウ類の葉緑体および核のDNAの塩基配列より,系統推定および浸透交雑の解析を行ない,送粉者が介在した種分化と,雑種形成が介在した種分化のパターンを明らかにした。
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