研究課題
基盤研究(B)
シアノバクテリアにおける酸素発生系の獲得と安定化の機構解明のため、始原的シアノバクテリアと考えられるGloeobacter violaceus PCC 7421株を主な研究対象として解析を進めた。この株の使用によって獲得過程に関しても実験的な解析が可能と考えられた。形質転換系の作製は解析の基本である。そこで、かずさDNA研究所との共同研究によってG.violaceusの全ゲノム情報を明らかにした(DNA Res.10,137,2003)。その結果、酸素発生系を含め、有意な数の光合成関連の遺伝子を欠くなど極めて始原性が高いことが明らかとなり、酸素発生系の獲得過程の解析に最適の材料であることが実証された。形質転換系の確立のため、広宿主域プラスミド由来のベクターを作りエレクトロポレーション法による転換を試みたが、おそらく細胞壁外部の多糖層による物理的障壁のために、現在までのところ成功してはいない。現在、接合法による遺伝子導入も試みている。酸素発生系について、幾つかの性質を調べた。「熱発光」を筑波大学、野口助教授との共同研究により解析した。主発光帯の温度依存性が他のシアノバクテリアと比較して、数度、高温域にシフトし、中間体の酸化還元電位が異なっていることが示唆された。また、他のシアノバクテリアではあまり観測されない50度付近のバンドの強度が顕著であり、水分解系の完成度が低いことが明らかとなった。この事実は遺伝子情報から得られているサブユニット数が少ないこと、水分解に関わるサブユニットのアミノ酸配列が大きく異なることと対応していると考えられる。この他、酸素発生の閃光間隔依存性や、酸素発生系に最も影響の大きいと考えられる表在性タンパク質についてそのアミノ酸配列と機能との関連を調べた。その結果、G.violaceusは機能の面に於いても始原性が高いことが判明した。今後、この株について、分子遺伝学的解析、逆遺伝学的解析を行うことで、酸素発生系の起源と安定化に大きな寄与が可能との結論に至った。
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