研究課題/領域番号 |
15370037
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物多様性・分類
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
村上 哲明 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60192770)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
15,300千円 (直接経費: 15,300千円)
2005年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2004年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
2003年度: 8,300千円 (直接経費: 8,300千円)
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キーワード | rbcL / 分子情報 / 生物学的種 / 隠蔽種 / 生殖的隔離 / 種分化 / 種分類 / シダ植物 / シマオオタニワタリ類 / 西マレシア / アダガスカル / マダガスカル / 棲み分け |
研究概要 |
シダ植物の形態は非常に単純であるが、従来、ほとんど形態形質のみにもとついて種(species)の認識・記載が行われてきた。したがって、シダ植物では一つの形態種の中に複数の生物学的種(隠蔽種)が含まれていることが十分期待できる。実際、我々がrbcL遺伝子の塩基配列解析と人工交配実験を組み合わせて調べてみたところ、シマオオタニワタリには多数の隠蔽種が含まれていることが強く示唆された。そこで、rbcLの塩基配列情報に基づく分子α-分類の手法により、西マレシア地域(マレー半島、スマトラ、ジャワ、ボルネオ)およびマダガスカルに分布するシマオオタニワタリ類に含まれる生物学的種を網羅的に認識し、同時に自然界におけるその存在様式および地理的分布域の広がりを明らかにすることを目的として研究を行った。その結果、これらの地域に約50の隠蔽種を認識することができた。一方、似通ったrbcLの塩基配列をもつタイプ(おそらく同一の隠蔽種)は、スマトラとボルネオなど比較的離れた島に分布している場合でも、海抜高度などで似通った環境に生育していることもわかった。さらに、rbcLの塩基配列が様々な程度に異なる組み合わせで多くの人工交配実験を行い、rbcL遺伝子の違いを遺伝的距離として横軸におき、これら様々なステップでのシダ植物の生殖的隔離がどのように進化してきたかを明らかにすることを試みた。その結果、予想通り、遺伝的距離が大きくなるにつれて生殖的隔離が強くなる傾向が見られた。また、F1雑種も形成されないような強い生殖的隔離が比較的短時間に形成されることもあることがわかった。さらに、生殖的隔離が完全になる前の段階では、一方の個体を母親にしたときだけ、F1雑種が形成されるような例も複数見出された。種分化の過程でこのように特定の交配の方向性でのみF1雑種が形成可能な状態を経ることは非常に興味深い結果である。
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