配分額 *注記 |
9,700千円 (直接経費: 9,700千円)
2005年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2004年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2003年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
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研究概要 |
中心小体(または中心子)は短いtriplet微小管が9回対称に配置されたユニークな構造をもつ.また,細胞周期ごとに複製されるという不思議な性質ももっている.しかし形成の分子機構はいまだに細胞生物学の大きな謎である.本研究は,中心小体と相同な鞭毛基部体をもつクラミドモナスを用いて,中心小体形成の分子機構を探ることを目的に開始された.3年間の研究によって得られた主な成果は以下の3つで,いずれも中心小体形成初期過程に関する理解を大きく進展させるものである.1.基部体形成に必須な蛋白質Bld10の詳細な機能を明らかにした.Bld10は基部体を完全に欠失した突然変異株bld10の変異遺伝子産物で,基部体の底部にあるcartwheelという構造に局在する.N末端を大きく欠失させたBld10をbld10変異株に発現させたところ不完全な基部体が形成され,その形態観察より,Bld10pはcartwheelとtripletの結合に関与することが明らかとなった.2.bld10変異株のextragenic suppressorを単離した.この変異はallele特異性が高いことからinteractive suppressorである可能性があり,Bld10と相互作用する蛋白質の同定につながると期待される.PCRマーカーを用いたマッピングにより,変異遺伝子のゲノム領域は約700kb程度にまで絞り込まれている.3.基部体形成の初期過程に異常をもつ新たな変異株vdn1を単離した.variable doublet numberという意味で名付けたこの変異株は,基部体構造の9回対称性が不安定になり,少数の細胞で7?11本の周辺微小管からなる軸糸を形成する.電顕観察からcartwheelの形成が不完全であることが示された.
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