研究課題
基盤研究(B)
ラディキシンノックアウトマウスにおける蝸牛有毛細胞の機能解析我々はこれまで、ERMファミリーを形成するエズリン、ラディキシン、モエシンのノックアウトマウスの解析を行ってきた結果、モエシンノックアウトマウスには何の異常も認められず、ラディキシンノックアウトマウスは高ビリルビン血症を呈することを見出した。本研究において、このマウスでは聴力が欠失していることが明らかとなったので、蝸牛有毛細胞の解析を行つた。その結果、(a)野生型のマウスの蝸牛有毛細胞において、ラディキシンが不動毛に濃縮すること、(b)ラディキシンノックアウトマウスにおいては生後2週間までの聴力がない時期においては、エズリンが相補的に発現することにより不動毛が形成されるが、それ以後、不動毛が消失していくため、このマウスは先天的に聴力が欠失している、を示すことができた。エズリンノックダウンマウスにおける胃壁細胞の機能解析エズリンノックアウトマウスは、すべてのマウスで、生後2,3日後での死亡が確認された。従って、このマウスでの成熟した臓器におけるエズリンの機能解析は不可能であるという結論に達した。そこで、エズリンのイントロン部分にターゲティングベクターを組み込んでエズリンノックダウンマウスを作製したところ、7%の生存率で離乳期を越えて成体に達する固体を得ることができた。このマウスにおいては、すべての臓器でエズリンの発現が4%以下に減少していた。エズリンの発現が特に多い臓器として胃や小腸がしられているが、生理学的測定から胃酸分泌がエズリンノックダウンマウスで大幅に減少しており、このマウスが無酸症という病態を呈することが観察された。野生型のマウスにおいては、胃酸分泌は胃壁細胞におけるアピカルの細胞膜と細胞内のtubulovesiclesの融合によっておこなわれるが、エズリンノックダウンマウスでは、このような融合が起こらないことが示された。
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