研究課題/領域番号 |
15380065
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用微生物学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
下田 満哉 九州大学, 農学研究院, 教授 (70149871)
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研究分担者 |
井倉 則之 九州大学, 農学研究院, 助教授 (30260722)
早川 功 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (30038252)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
15,900千円 (直接経費: 15,900千円)
2005年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2004年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2003年度: 9,200千円 (直接経費: 9,200千円)
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キーワード | 二酸化炭素 / 加圧カーボネーション / 非加熱殺菌 / 非加熱酵素失活 / 細胞内pH / カーボネーションバイオリアクター / 加圧カーボネーション殺菌 |
研究概要 |
本研究では、主として、加圧カーボネーション(HPC)下における殺菌メカニズムの解明を行った。供試菌S.cerevisiae(JCM 7255)を用いてHPC処理中の細胞内pH(pHin)を測定した。30℃、6.5MPaのHPC処理によりpHinは1分間経過後3.6に、その後3.2まで低下した。pHinに及ぼすpHexの影響は認められなかった。このとき、細胞府ATPは95%以下まで減少し、H+-ATPaseの活性が消失することが判明した。H+-ATPaseの阻害剤であるDCCDを微生物縣濁液に添加してHPC処理を行ったところ、DCCD添加量に比例してATPの減少量は低下したが、微生物の死滅速度はDCCD添加量に依存して大きくなった。このことはHPC処理下での死滅速度はH^+-ATPaseの活性に大きく依存することが判明した。 さらに、HPC処理により解糖系の鍵酵素であるfructose-1,6-bisphosphataseがほぼ完全に失活したことから、HPC処理が解糖系を著しく損傷させることが明らかと成った。 以上の結果からHPC処理の殺菌メカニズムを以下のように考えた。 (1)細胞膜を透過したCO2分子が細胞内で炭酸を生成し、次いで炭酸の電離により放出されるH+によりpHinが低下する。 (2)pHinの低下に伴ってH+-ATPaseが活性化し、ATPの加水分解と共役して細胞内H+の排出を行う。 (3)解糖系の著しい損傷のためにATPの生産が停止状態にあるなか、H+排出によりATPが消費されるために細胞内ATPは枯渇状態に陥る。 (4)ATPの枯渇は、細胞内のH+排出を困難にするために細胞内pHの低下が進行する。生理機能の崩壊を招き、ついには細胞死に至る。 上記のような死滅メカニズムを想定し、現在風味が重要な品質因子となっている各種食品に対して加圧カーボネーション殺菌を適用しつつある。
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