研究分担者 |
中村 公人 京都大学, 農学研究科, 講師 (30293921)
堀野 治彦 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教授 (30212202)
中桐 貴生 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助手 (80301430)
荻野 芳彦 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 教授 (60032992)
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配分額 *注記 |
13,700千円 (直接経費: 13,700千円)
2005年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2004年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2003年度: 7,700千円 (直接経費: 7,700千円)
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研究概要 |
近年,わが国の社会が大きく変革するなかで,農業政策は大きく転換した.これまで農業政策の主たる目標を食料の生産機能に置いてきたが,近年では食料の生産機能に加えて,農業の副次的機能である食料生産機能以外の多面的機能の発揮も大きく注目されるようになった.また,産業政策としての農業政策に加えて,わが国の国土の管理上で都市と農村の共生・共存が重要な課題となっており,この多面的機能が重要な役割を果たすと考えられ,国土・地域政策としての農村政策に対する期待も大きい.本研究では,農業の多面的機能の中で,とくに洪水緩和機能,気候緩和機能,土砂などの流出防止機能の三つの機能に注目し,農業水利が地域社会の共通基盤としてきわめて重要な役割を果たしているため池灌漑地域に調査フィールドを設けて現地調査と分析を行った.その結果,農業生産基盤である農業水利施設は,単に食料を生産する農業基盤としての役割だけではなく,地域の安全性や快適性などのサービスを地域全体に供給する地域基盤としての役割を果たしており,都市化・混住化の著しい地域において,社会共通基盤としての役割がきわめて大きくなっていることを,具体的な事例の調査とその考察をもとに明らかにした.また,このような多面的機能が有効に発揮されるためには,社会関係資本(ソーシャルキャピタル)がきわめて重要な役割を果たすために,社会基盤の整備と同時に社会関係資本の形成が不可欠であることを確認した.とりわけ,農業水利施設の管理運営組織である土地改良区は,典型的な社会関係資本であることを明らかにした.
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