研究課題/領域番号 |
15380170
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
農業環境工学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大下 誠一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00115693)
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研究分担者 |
牧野 義雄 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 講師 (70376565)
川越 義則 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (80234053)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
14,600千円 (直接経費: 14,600千円)
2005年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2004年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2003年度: 11,000千円 (直接経費: 11,000千円)
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キーワード | 細胞膜水透過性 / 拡散水透過係数 / 浸透水透過係数 / 水分損失 / プロトン緩和時間 / 水交換時間 / アクアポリン / ホウレンソウ / 膨圧 / 細胞膜の水透過性 / ミスティング / 萎れ / 目減り / 細胞膜水透過係数 |
研究概要 |
収穫後のホウレンソウ細胞膜の水透過性を表す指標として、2種の細胞膜水透過係数、すなわち、拡散水透過係数Pd、と浸透水透過係数Lp、さらに、水透過に寄与する膜タンパクであるアクアポリンの収穫後の経時変化について検討した。 P_dの測定には、細胞膜内外に浸透圧差が無い場合に膜を横切る水分子の拡散が観察されるNMR法にに基づいて、プロトン緩和時間を用いた。この方法により、水交換時間λ_aおよび拡散水透過係数P_dを求めた。測定温度は、すべて25℃である。この結果、2℃貯蔵の場合、1日貯蔵後の水交換時間は71.3ms、水透過係数は5.1x10^<-5>ms^<-1>であったのに対し、6日貯蔵後は、水交換時間が55.4ms、水透過係数が6.6x10^<-5>ms^<-1>となり、細胞膜の水透過性が増大した。 一方、Lpは、細胞膜の内外に浸透圧差を与えたときに生じる細胞の膨張(収縮)から測定される浸透水透過係数である。測定には、当研究室で開発した二層流法(I. Sotome et al, 2004)を用いた。試料には研究室で養液栽培されたホウレンソウを用いた。細胞膜水透過係数Lpの経時変化から、20℃貯蔵では収穫後72hを経過するとLpが増大すること、2℃貯蔵ではLpは収穫直後の水準を維持することが明らかとなった。Lp増大の要因には種々の水チャネルの発現量の増加に伴う水輸送活性の促進、または、リン脂質二重膜のパッキングが不完全となることによる膜の物性変化が挙げられる。本研究で測定したアクアポリンの一つであるPM28Aの発現量が収穫後に減少を示したので、20℃貯蔵におけるLpの増加は、主にリン脂質二重膜の劣化の進行によるものと考えられる。一方、2℃貯蔵においては有意なLpの変化が観察されなかったので、リン脂質二重膜の顕著な劣化は生じなかったと考えられる。 以上により、適切な環境ストレスを付与してアクアポリン発現量を制御することにより、水分損失を抑制する技術の可能性が示されたと考える。
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