配分額 *注記 |
10,400千円 (直接経費: 10,400千円)
2005年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2004年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2003年度: 6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
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研究概要 |
「いわゆるトリのグリオーマ(星状膠細胞腫)so-called fowl glioma」はその原因と病態が不明であった疾患である。申請者らは以前本疾患がA型トリ白血病ウイルス(ALV-A)感染症であることを明らかにした。本研究課題の目的はトリのグリオーマ原因ウイルス(FGV)の神経病原性とこれに関わるウイルスゲノムenvとLTRの機能を解明することである。まず,FGVの病原性を解析した。その結果,既知のALVは主に造血器系腫瘍を誘発するのに対し,分離したALVは心臓と脳で活発に複製され,グリオーマのほか,非化膿性脳炎,神経周膜腫,小脳低形成など神経組織に対して病原性,腫瘍原性を持つことを明らかにした。ゲノム解析では本ウイルスは数種のALVゲノムの組み換えにより出現したことが示唆された(EMBL,GenBank,and DDBJヌクレオチドシークエンスデータベースアクセッションNo.AB112960)。既知のALVsと比較してFGV-LTRのU3領域には欠損と変異が見られ,LTRのプロモーター活性もわずかながら差が見られたことから,この領域がFGVの神経病原性と関連していると推察された。次に本疾患の脳病変51例を検索し,本疾患には星状膠細胞がびまん性に増殖する亜型が存在することを示唆した。また,原因と病態を加味し本疾患はトリの「レトロウイルス性星状膠細胞腫」と命名するのが適切であることを示した。さらにin vivoでのFGV-LTRプロモーター活性を調べるため,LTRとGFPを遺伝子導入したトランスジェニックマウス13系統を作製してRT-PCRでGFPのmRNAを検出した。その結果,FGV-LTRプロモーターはin vivoでpan-specificプロモーターとして機能する一方、中枢神経系および精巣で安定した導入遺伝子発現を誘導することを明らかにした。
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