配分額 *注記 |
15,700千円 (直接経費: 15,700千円)
2005年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
2004年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
2003年度: 6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
|
研究概要 |
黒毛和種牛に多発する(産子の3-5%)発育不良・虚弱の病態を解析し,原因を探求すると共に早期診断法および発生防御法を検討した.発育不良の黒毛和種では,血中甲状腺ホルモン濃度が低下していたが,これは偽甲状腺機能低下であり,発育不良牛では2次的甲状腺機能低下が認められることを示唆した.ガスクロマトグラフィー/質量分析を用いて発育不良牛における尿の代謝プロフィル解析を行ない,オロト酸尿症の1例を検出した.しかし,責任酵素であるuridine monophosphate synthaseの遺伝子異常は認められなかった.また,発育不良牛は系統ごとに特徴的なGC/MSプロファイルを示したが,特定分子の異常は検出できていない.ホルモンに関しては,発育不良牛では,正常対照よりも血漿GH分泌が多く,IGF-1濃度が低いことを示した.さらに家系によって内分泌異常の程度が異なっていた.発育不良牛の中でもM系の牛はH系の牛よりもGH分泌が多く,IGF-1,T3,T4,コルチゾール濃度が低いこと,すなわち高GH・汎内分泌機能低下であることを示した.発育不良の黒毛和種牛において血液凝固第XI因子欠乏症を認め,遺伝子疫学調査により異常遺伝子が当該地域に広く拡散していることを示した.また,発育不良牛においてプロピオン酸負荷試験とアルギニン負荷試験およびメタボリックプロファイルテストを行い,インスリンとグルカゴンの分泌動態から,発育不良牛はエネルギーを放出し易くためこみ難い,すなわち痩せやすく太りにくい代謝状態にあることを示した.発育不良牛は常に血漿IGF-1濃度が低い状態にあり,IGF-1の経時的測定が発育不良の指標となることが明らかとなった.発育不良牛の症例解析において,胸腺萎縮,糖尿病,低体温,好酸球筋炎,心嚢中皮種,小脳欠損等多くの稀な異常に遭遇し,これらについて症例報告した.
|