研究分担者 |
高良 真也 長崎大学, 環境科学部, 教授 (40225389)
高尾 雄二 長崎大学, 環境科学部, 助教授 (20206709)
下町 多佳志 長崎大学, 環境科学部, 助教授 (60249886)
長江 真樹 長崎大学, 環境科学部, 助教授 (00315227)
石橋 康弘 長崎大学, 共同研究交流センター, 助手 (00212928)
大久保 明 マイクロ化学技術(株), 研究顧問 (20111479)
志水 勝好 (志水 勝義) 筑波大学, 農林系, 講師 (40261771)
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配分額 *注記 |
13,700千円 (直接経費: 13,700千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2004年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2003年度: 9,200千円 (直接経費: 9,200千円)
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研究概要 |
本研究では,塩生植物の耐塩性因子であるグリシンベタイン(GB)の生理学的・生化学的機能を解明することによって植物の塩ストレス応答機構の詳細を理解するとともに,その結果を応用して21世紀の食糧増産へ向けて技術的側面から支援することを目的とした。3年間の研究成果を以下に要約する。 1)耐塩性の遺伝形質は種子に蓄えられる。 塩生環境下で植物が発芽するとき最も塩ストレスを受けやすい。塩生植物が発芽する機構を調べたところ,種子の中にグリシンベタイン(GB)を蓄積していることを初めて明らかにした。しかもその蓄積量は見事に耐塩性の強さに同調していることを明らかにした。 2)塩生植物のライフサイクル 塩生植物は種子中に蓄積したGBによって発芽時の塩ストレスを回避すること,発芽後は自らGBを誘導合成すること,成長期にはGBは光合成能を増強する可能性があること,成熟すると種子中にGBを蓄積することが明らかになり,GBという有機低分子化合物を巧みに利用しながら環境適応を計っていることが明らかになった。 3)オオムギの耐塩性の品種間差に関する研究 耐塩性既知のオオムギ葉中のGBをキャピラリー電気泳動法で定量し,判別関数Zを求め,オオムギの幼植物334品種のGBを定量したところ,GBの誘導量とZ値と耐塩性の強さが相関することを見出した。従って,オオムギの耐塩性強の品種を見つけるためにキャピラリー電気泳動法は簡便迅速な定量法であり,これを用いて品種選抜の一次スクリーニングが可能であることを示した。 4)塩ストレス下で細胞中に誘導されるタンパク質について 塩ストレス負荷植物にGBを投与し誘導されるタンパク質を調査した結果,ストレス下で光合成タンパク質であるプラストシアニンが誘導されることが分かった。これはGB投与により光合成系が活性化されたことを示唆した。葉緑体のチラコイド膜タンパク質の変化を調査中である。 4)GBの機能(総括) GBは植物のライフサイクル全般にわたって耐塩性保持と細胞機能亢進に寄与していることを示した。
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